ヤンゴンの青空

 ミャンマーのイメージといえば、仏塔。特にあのシュエダゴン・パゴダは見ずに帰れない。土曜日のヤンゴン観光はまず、シュエダゴンを目指す。

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 朝9時過ぎ、真っ青な空、清々しい空気、そして涼しい風。30度を超えるというのに、まったく暑さで不快を感じることはない。見学や参拝は靴を脱いで裸足で境内を歩くので、床があまり熱くならない朝夕がよいといわれている。

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 「私たちミャンマー人はよくここに来ますよ。いろんな苦しいことを忘れ、心を洗い、来世きっと幸せになるんだとただただ祈って、信じるのです。毎日やってくる人もいますが、私は仕事がどんなに忙しくても毎週必ず1回は来ます」。ガイドのカウンさんは流暢な日本語で語る。

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 信仰。――中国で失われた言葉ほど、ここミャンマーで強く強く心打たれる。豊かになることは誰もが望んでいる。文化大革命で信仰が捨てられ、踏みにじられ、そこで一気に経済成長に突入した中国では、信仰は徹底的に埋葬されてしまった。いや、むしろ金銭信仰がすべて、損得が価値判断の基準となった。

 ツケは必ず回ってくる。すでに回ってきている。2013年1月12日付けの人民日報の記事を読むとよい。――「中国各地で濃霧が発生、大気汚染は観測限界を突破」。ヤンゴン上空のこの青空を見渡して、私は神様の存在を信じた。世の中何事もバランスというが、人間の貪欲を暴走させれば、必ず天罰が当たる。