事実上ゼロ成長の中国市場、幻想か夢想か理想よく考えよ

 今朝の産経紙に、論説「事実上ゼロ成長、停滞長期化…中国市場幻想を捨てよ」が掲載された。

 先日、コンサルタント水野真澄氏が中国の第1四半期GDP伸び率7.4%の「景気減速」報道に対し、「誘導的」「扇情的」と評したところ、私から反論を仕掛けた。ロイター各社の「低迷・減速」報道が「誘導的」「扇情的」であれば、今朝の産経論説はどうなるのか、言葉も見つからない。

 中国のGDPと経済実態の深刻なかい離は、もはや世の常識。それは産経論説指摘のとおり、中国自身も認めざるを得ない状況である。論説は、鉄道輸送や不動産相場など生のデータを用いて論証し、深刻な現状を浮き彫りにした。

 水増し工事で作られた道路や橋、数年も立たないうちにボロボロになる。そこで、それを撤去し、再建をする。これだけでも3回や4回、GDPの計上をしているわけだ。このような数字の積み上げは何の意味があるのか。GDPは、量と質、両方を客観的に評価しないと、冷静に中国市場を見つめることができない。水野氏には、是非、中国のGDPをもう一回再評価していただきたい。7.4%は「高い」といえるのか、しかもそれを日本や香港と比較して意味があるのか・・・

 「事実上ゼロ成長」。――産経の論説は、私の体感温度とほぼ一致している。ただ、ゼロ成長は決して市場の消滅を意味しない。勝率がさらに低下し、誰もが中国で簡単に利益を上げられなくなったことを意味する。だが、少数で一握りの勝ち組は必ず存在する。

 事実上ゼロ成長の中国市場、GDP伸び率や13億人の巨大市場などを盲信して進出する日本企業は、まず勝算がないといっていいだろう。

 「中国市場は、まだ大丈夫」という論もある。「まだ」は何を意味するか?私の場合、「まだ」=「衰退」と読んでいる。

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