不動産は資産ではなくなる日、人生設計の組み直し待ったなし

 「不動産が資産ではなくなるのです」

 東京で不動産関係の会社を経営している友人から衝撃の一言。総務省の住宅・土地調査によれば、人口減少が進み、13年の日本国内住宅総戸数を占める空家率は、13.5%と過去最高を更新した。20%を超えるのももはや時間の問題。野村総研の試算によれば、現状でいくと、2040年には空家率が43%にも達するという。

 最近は冗談と思えるほど、100万円代のマンションも出回っている。日本国内の不動産サイトを検索すると、1000万円台でも出せば、結構立派なマイホームが買える時代になったのである。軽井沢や那須などのプレミアム保養地では土地付きの別荘も信じられない安値で取引されている。

 要するに今後は一部都心部の物件を除いて、不動産の資産としての保有価値はもう望めないのだ。物件保有しても管理費や修繕積立金に固定資産税などのコストがかかり、だったら格安の賃貸物件に住んだ方がよほどマシだ。空家率が年々上昇している限り、賃貸料が上がることはまずないだろう。

 マイホームは夢のまた夢といっても、夢のままにしておいたほうがいい。夢を実現させてはならない。こういう時代である。不動産は資産ではなくなり、あくまでも、一種の大型耐久消費財に過ぎない。場合によっては金食い虫の粗大ごみにさえなりえる。

 大きな借金地獄を背負ってマイホームの夢を追っかける。数十年の金利を足して支払った金額総額を年月数で割ってみたらよい。その金額の数分の一で同等の物件を借りられたかもしれない。その現金を手元に残せば、生活がはるかに豊かになったのだろう。事業を起こせたかもしれないし、人生が大きく変わっていたかもしれない。

 マイホームは常識だった。その常識を覆す時代になった。そもそも世の中は常識をまず疑えというのだ。時流に便乗していると流されることはしばしばある。

 さらにこれからは円安の時代。海外で稼いで、外貨建ての資産を増やして将来に日本に持ち帰って安い円に換え、保養地の安い別荘でも買って悠々自適な老後を楽しむ。これが新たなライフスタイルになろう。海外移住というのは堅苦しく考える必要はまったくなし、何も死ぬまで住まなくてもいい。骨を異郷に埋める必要もない。