失業と減給、超氷河期の2015年中国雇用・労働市場

 失業と減給、2015年の中国雇用・労働市場の様相が浮かび上がった。一連の労働市場のレポートを読んでも、現実に目を向けても同じ地獄絵図しか見えてこない。

 当社のような零細中の零細でも、先日事務局担当の募集を出してわずか2日、数十名という膨大な量の履歴書が舞い込んだ。なかに日本語ができて月給2000元台という弱気な待遇要求もあったりして、完全に買い手市場だ。

 求人が相対的に減少している原因としては、中国経済の低迷や人件費コスト増などが挙げられるが、もうひとつ大きな原因は事実上の解雇禁止と減給禁止を裏付ける労働法制度である。

 毎年700万人以上もの大学新卒を送り出す国。労働市場の流動性を奪った労働法制度は偽善であって、労働者権益保護のいわゆる美辞麗句や大義名分の仮面をかぶり、労働者になれない者の権利を侵害し、社会正義をことごとく浸食しているのではないか。

 2015年の中国雇用・労働市場はどうなるか。企業はどう対応するべきか・・・。

(本記事のフルバージョンは、顧客向けの「ERIS中国経営レポート」に掲載します)

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コメント: 失業と減給、超氷河期の2015年中国雇用・労働市場

  1. 思い出したので付け加えると、彼の発言の中には、(就職できない?)大学生を馬鹿にしている発言がちらほらありました。コンプレックスの裏返しなのでしょうが、現時点では同じ労働者として大学生と一体化した行動をとるようなことはないかと思われます。むしろ大学生が騒げば騒ぐほど、冷たい視線を向けるのではないかと思われます。

    1. 三上さん、中国の労働業界でも、カラー分けが当たり前になっているのが気になります。ブルーカラー、ホワイトカラー、さらにグレーカラー(ブルーとホワイトの中間、生産現場の管理職など)、ゴールドカラー(企業上級幹部、経営陣)などなど・・・。

  2. 大学生の労働市場の冷え込みは著しいようですね。

    一方で、人口の大部分を占める一般労働者の労働市場となるとまだまだ余裕があるようです。先日会った、内装関係の労働者(学歴はゼロに等しい)は需要に応じて仲間と土地土地を移動しているのですが、現在広東省の東莞で働いています。日給400元前後。月の給与は多い時で1万2千元。少ない時でも9千元あるそうです。

    つまり、大学生の看板を捨てさえすれば、まだまだ仕事があるということです。そう考えると、労働市場が原因で社会が不安定になるのはまだ先のように思えます。うちの近所でも地下鉄延長工事をガンガンやっていますから、肉体労働仕事はいくらでもあるのでしょうね。

    1. 三上さん、ミスマッチはその通りですね。単純肉体労働だけでなく、熟練工や多能工も不足しています。ドイツのように熟練労働者の社会的地位がもっと向上すればいいのに、中国の伝統観念ではなかなかそれを許してくれません。みんなホワイトカラー、しかも管理職を目指すのですから、管理されるほうが不足してしまいます。

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