宿泊中の上海・錦江飯店錦北楼グランドフロアにある「錦廬(The Chinoise Story)で食事。
ヌーベルシノワと銘打った料理は、私からみれば紛れもなく本格中華である。まあ、しゃれた空間は確かに新派を意識させるが、料理はしっかりと堅実な本流である。
「白切鶏」をまず頼むと、売り切れ。やっぱり人気だったのか。なるほどと頷ける代替品の「醤鴨」。見た目ではいかにもドロドロの甘そうな代物ソースだが、全然しつこくない。程よい甘みとうま味のハーモニー、上品な肉質、最上級物だ。紹興酒との相性はいうまでもなく抜群。
「三杯牛蛙」。蛙は厳選されたものだ。肉付きがよろしいこと。過剰な筋肉質では固くなるのだが、そういうことは一切ない。引き締まった肉でありながらも、弾けるような食感でバランスがよい。
口直しに、あっさり系の「松茸上湯豆苗」。出しも豆苗も申し分ない。あえて注文すると、マツタケは一緒に炒めてしまうとせっかくの香りがやや殺されてしまいがち。マツタケは香ばしく焼き上げて最後にポンと乗せるのもいいのではないかと。
最後に名物の「紅焼肉」。ほとんど満腹状態だが、それでもご飯を注文して一緒にいただく。この一品はやはり脂身の主張の仕方であろう。あとは注文の順序だ。空腹、やや満腹、満腹といったお腹の状態、前に食べた料理の後味などで影響が及ぶ。一度、一口サイズのレモンシャーベットで口直ししてから「紅焼肉」にありつくのがベストであろう。
全体的に大変満足できる一店だった。謝謝。