「立花聡の旅」カテゴリーアーカイブ

五十にて河豚の味を知る夜かな、美食万歳大阪万歳

 理想的な死に方と聞かれたら、「食い倒れて死ぬ」と私が答える。「生きるために食べるのではなく、食べるために生きる」という私の人生観はやはり歪んでいるのじゃないかと、自分でもそう思う。大阪に来たら、死ぬまで食ってやるという「悲壮感」が付きまとう。お目当てはといえば、河豚以外は考えられない。

 目指すは福島駅の近くにあるふぐ料理店「あじ平」。予約しておいて良かった。19時30分過ぎの入店で満席状態。

 「河豚のうまさというものは実に断然たるものだ、と私は言い切る。これを他に比せんとしても、これに優る何物をも発見し得ないからだ。河豚のうまさというものは、明石鯛がうまいの、ビフテキがうまいのという問題とはてんで問題が違う。調子の高い海鼠やこのわたをもってきても駄目だ。すっぽんはどうだといってみても問題が違う。フランスの鴨の肝だろうが、蝸牛だろうが、比較にならない。もとより、天ぷら、鰻、寿司など問題ではない」

 と、魯山人がこう語る。河豚を食さずに大阪を後にすることはできまい。

 「五十にて 河豚の味を 知る夜かな 河豚食わぬ 奴には見せな 富士の山」小林一茶の句だ。50歳になって始めて河豚の旨さを知ると。河豚の旨さは何であろう。思うには、淡泊さのなかに隠されている「うまさ」、これを味わって感動を覚えるという、まさに芸術的な境地に到達できるかどうかの話だ。

 昔は命がけで河豚を食すというが、なるほど「食い倒れ」とは、量で倒れるか、質で倒れるか、あるいは毒で倒れるか。それは食の街、大阪ならではの醍醐味ではないだろうか。

 と、ついに私は倒れることなく、また明日も旨いものを食べ続けたい。美食万歳、大阪万歳。

神戸牛焼肉、昼から斗酒なお辞せず@大阪梅田

 11月10日(金)、大阪滞在。主に個人の私用なので、リラックスモードに入る。

 午前中ホテルでサクサク(中国脱出直後のサクサク感が何とも言えない爽快)とフェイスブックにアクセスしたら、大阪在住の友人M氏からコールが入る。急遽一緒に昼食を取ることになった。

 昼食の場所は、梅田の宿泊ホテルの近くにある「神戸あぶり牧場」。牧場やセリからの直接仕入れを行なっている店で、肉はよろしく、価格もリーズナブル。

 昼から飲む。話が盛り上がり、3人でビールを頼んで、さらに焼酎2本も開けてしまう。いやいや、さすがに酔っ払った。午後はふらふらと千鳥足で梅田で買い物。平日なのに、ちょっとした罪悪感を・・・。

鯨や河豚やキンキ、欣喜美食のひと時@大阪北新地

 11月9日(木)早朝上海浦東発のピーチ航空便で午前9時過ぎ、大阪関西空港に到着。市内に着くと、デンタルクリニック通院と個人の生保関連手続。夜は入社内定の大阪在住ベトナム人社員と会食打ち合わせ。

 会食の場所は、北新地の「弁天」。大阪出張の際、かならず足を運ぶ店である。大阪はどこの店に行っても美味しい。この店は何を食べても美味しい。彼女があまり食べたことのない料理ということで、まずは鯨ベーコンに挑戦してもらう。「美味しい!」と絶賛。

 次は、河豚の白子焼き。食べられるかな、彼女。こればかりは心配していたが、難なくペロリと平らげて、またもや「美味しい!」と絶賛。

 贅沢にいこうと、魚はキンキ。これはもう絶品。彼女の絶賛コールを待たずに、私は思わず「絶品」と歓声を上げてしまう。まさに、欣喜のひと時である。

 ご馳走様。大阪はやはり素晴らしい。

初宿泊、浦東空港エアポートホテル

 11月8日(水)。上海5泊、松江5泊の中国出張を終え、午後浦東空港へ移動してエアポートホテルにチェックインする。1泊して翌早朝のピーチ航空便で大阪関空へ飛ぶ。

 浦東空港のエアポートホテル「大衆空港賓館」は、第1ターミナルと第2ターミナルの真ん中に位置し、グレードは高くないが、利便性が抜群。料金も1泊500元くらいで手頃だ。

 旅情を誘うエアポートホテルだが、長旅で疲れた旅人にとっては単なる一睡の場に過ぎない。徒歩で空港ターミナルへ移動できるという安心感が何よりの価値である。ほっとした。

 10泊11日の中国出張で、労働ビザの更新ができた。新制度下、当初は1年ビザしか取れないといわれたが、なんとか2年ビザが降りて良かった・・・。

 大阪で美味しいものが食べたい。

西塘古鎮(4)~水郷のいろんな風景

<前回>

 西塘はデートの名所らしい。特に夜になれば、提燈の明かりが幻想的で、ロマンチックな水郷古鎮へと変身する。「昼間は老人で賑わう、夜は若者で混み合う」という人もいるが、実際に昼から多くの若いカップルがすでに殺到している。

 水郷の風景をバックに変身写真を撮る風景、これも微笑ましい。ずいぶんユニークな着物だ。中国人がイメージした和服で、なんとなくプッチーニのオペラ「蝶々夫人」を連想する。

 と、いろんな風景を楽しみながら、西塘を歩いてみると、観光地として街はずいぶん綺麗だったことに気付く。相変わらず「カーッペ」と痰を吐く輩も健在だが、全体的に観光客のマナーが若干向上している。犬の糞もきちんと拾っているし、ポイ捨ても減った。

 それから、街の清掃作業も入念に行われている。公衆トイレも店のトイレも、まあまあ清潔な状態が保たれている。入場料は1人100元も取っている以上、やるべきことをやらないと、それは客に怒られるだろう。

 久しぶりの中国国内観光。大した不満もなく、楽しい1日となった。

<終わり>

西塘古鎮(3)~臭豆腐や田螺、ローカル料理満喫

<前回>

 西塘には、臭豆腐を売る専門店が多い。

 臭豆腐は、私の好物の1つである。もし、ブルーチーズ、ドリアンと臭豆腐を世界3大臭い食べ物だとしてさらにランキングで選ぶなら、私の場合やはり臭豆腐が1位。

 昼食で入った店には、田螺(タニシ)があったので、黄酒(紹興酒)を飲みながらつまむ。いかにも郷土料理的ムード満点。

 メイン料理は、老鴨餛飩湯。よく煮込んだアヒルのワンタンスープ、大変旨い。ご飯と一緒にいただく。

 午後は、ぶらぶらして茶館に入る。ローズ・ジャスミン茶に、落花生とヒマワリの種。これも江南流のティータイム。

<次回>

西塘古鎮(2)~旧邸宅と庭園の建築学・社会学的雑想

<前回>

 西塘古鎮には数多くの旧邸宅や庭園が「景点」(観光スポット)として保存されている。一つひとつ見学していくのが面白い。

 大学で建築専攻だった私は、「空間」にはいまでも興味を持ち続けている。中国の伝統的な邸宅といっても、南北地域や文化の違いで様々な様式がある。

西塘・倪宅内承慶堂

 西塘のような「江南スタイル」の旧邸宅は何と言っても、「庁」や「堂」と呼ばれるメイン・ゲストホールが建物の中心となる、という特徴がある。邸宅の主人が接客する間として、各人の主賓・上下関係が一目で分かるような座席配置になっている。よく見ると、現在中国政府の外国賓客接見の間も似たような空間でその延長線上にある。

西塘・王宅

 中国の庭園構成も特徴が目立つ。分節によって重層的な空間を作り出している。日本の庭園は確かに目立った分節が見られず、あるいは分節という概念もなく池を中心にした配置だが、中国は分節を重視し、重層的に構成された空間を回遊するという形態である。

西塘・酔園

 さらに外部景観を取り入れる借景も重視されておらず、内部景観という「小世界」で空間の限定的完結をコンセプトとしている。山や川・渓谷といった「山水」をそのままミニチュア化したところ、これらを俯瞰する主人的目線に価値を置く。

西塘・酔園

 最近、聞くところによると、多くの中国人富裕層は、中国庭園よりも枯山水風の日本庭園に傾倒しているとか。真偽はさておき、単なる流行なのか、それとも侘び寂びの心に惹かれたのか、それは知る由もない。

<次回>

西塘古鎮(1)~水郷と細い路地とノスタルジア

 11月5日(日)。休日を利用して、西塘古鎮の見学に出かける。

 西塘は、上海との境界に位置する浙江省嘉興市嘉善県にある小さな街。松江から車で40分ほどで着く。周荘や烏鎮など他の江南水郷古鎮と比べると知名度がやや低く、街の規模も若干小さい。

 ここ数年、観光地としてのブランディングが始まり、整備も急激に進んだようだ。とはいえ規模が小さいだけに、街全体がひっそりとした雰囲気を醸し出している。私はどちらかというと、そういうマイナーなところが大好きである。

 街の特徴はやはり、「弄堂」と呼ばれる路地。そびえたつ壁と壁の間の細い路地は不思議な異空間を構成し、まさに非日常的だ。石皮弄は西塘一番幅の狭い路地。その幅はなんと80センチしかない。見上げると、空が線のように見えてしまうことから、「一線天」という別称をもつ。

 日曜もあってやはり中国らしく、観光客が殺到している。ただ、街のノスタルジアがそれで破壊されることなく、いいムードを出してくれる。何よりも店の人たちがそれほど商売熱心でないところが好きだ。

 西塘の旅が続く。

<次回>

<上海・松江>地場料理「竹筷子」、素朴さ際立つ

 上海郊外の松江に出張中、今回は日系企業の幹部研修を引き受けての5泊という長い滞在。せっかくの機会だから、松江の地場料理を食べてみたい。

 「竹筷子」は数少ない松江料理の1店である。「竹筷子」とは、竹箸のこと。どちらかというと、素朴な家庭料理あるいは農家料理のイメージが極めて強い。

 「稲草扎肉」。「扎肉」とえば、浙江料理。浙江省に近い松江は相当その影響を受けたのだろう。豚の角煮ではあるが、笹の葉で縛り付けて仕上げるだけにより素朴さが際立つ。見た目より、あっさりしているし、旨い。ご飯が欲しくなる一品だ。

 「小腸百葉結」。ホルモンと押し湯葉の醤油煮込み。これも典型的な江南料理。ホルモン大好きな私だが、中国では食の安全を考慮してあまりホルモン系に手を出さないが、ついついて誘惑に負けてしまう・・・。

 「獅子頭滷蛋」。これが出たら、もうご飯抜きでは話にならない。ついつい食べすぎ、そして白酒の飲み過ぎ。ほかにもいろいろ食べて、勘定を締めてみると、1人100元ちょっと。安い、安い。

 ご馳走様。

ハノイのオペラハウス、驚きのサーカス観劇

 10月8日(日)、移動日兼勤務日。正午すぎにハノイ到着。ホテル日航ハノイにチェックインを終えると、仕事開始。面接数件、セミナーのベトナム人通訳者やITシステム開発の業者責任者との打ち合わせ。

 夜はハノイのオペラハウスでサーカスの観劇。オペラハウスは二度目。立派な歴史的建築物だ。驚いた点はいくつもある――。

 まずドレスコードは実質的に自由。自分は一応クアラルンプール同様の南国モードで半袖シャツともちろん長ズボンに皮靴。だが、いざ劇場に入ってみると、短パン、サンダル、Tシャツ、何でもあり。

 サーカスというのもあって、子供が多いこと。家族連れで1つの席に子供3人も座らせる、ちょっとしたサーカス状態である。ベトナム名物のバイク乗りを思い出せば、誠に微笑ましい風景である。

 あとは、上演中でも写真撮影が完全自由。前の席にカメラを固定してビデオ動画撮影する人もいる。フラッシュをたく人もいる。まあ、この国の流儀なのだろうか。私も便乗して数枚撮らせてもらった。もちろんノーフラッシュ。

 演目は民族的、一部社会主義的な色彩を残しつつも、面白い。疲れが癒された。