投資の話(4)~IFAのいろんな顔、独立できない独立アドバイザー

<前回>

 日本人消費者(投資者)が香港で金融投資商品を買う際に、直接にマザーファンドに契約するのではなく、ほとんどIFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)と言われる正規代理店を介して契約している。

 そのIFAの名称。「Independent Financial Advisor」の略で、直訳すれば「独立した財務の相談相手」となる。その「独立」とは、あくまでもその存在形態を指している。さて、形態上の「独立」は、即ち姿勢の「公正」になるのだろうか。まず、利害関係を見てみる必要がある。

 日本人投資者向けのIFA、投資アドバイザーは、顧客から投資顧問料を取っているケースが稀有であろう。一部、超のつく富裕層が個人的に雇っている投資顧問なら、しっかり報酬も払われるだろうが、一般サラリーマン投資者向けに商売している投資アドバイザーは、基本的に「無料」で仕事をしている。

 日本人は「無料」に弱い。だが、「無料」に弱い消費者が一番弱い。世の中、「無料」ほど怖いものはない。ボランティアではない。投資アドバイザーはどこから報酬を得ているかといえば、金融商品の販売仲介手数料をマザーファンドや、親元投資会社からもらっているのである。

 それが故に、ある意味で投資者に当たる消費者は、投資アドバイザーの真の直接顧客とはいえない。

 前述の通り、金融商品の契約・販売実績が上がれば上がるほど、投資アドバイザーの報酬が膨らみ、正比例関係になっているので、投資アドバイザーはとにかく新規契約・新規販売に必死だ。

 繰り返しいうと、消費者(投資者)は、金融商品の保有・売却という「出口」によって収益を得るが、投資アドバイザーは、投資者にとっての「入口」に当たる商品契約・購入によって報酬を得る。ここに、利益相反のリスクが生まれる。

 つまり、投資者に適さない金融商品について、投資アドバイザーは自分の利益を切り捨ててでも、それを売らない決断ができるのか。まずは、それに先立って、購入断念につながる可能性のある、商品のリスクを徹底的に投資者に開示できるのか。この辺、利害関係が絡む以上、清らかな「独立性」を「独立アドバイザー」が果たして保てるのか、甚だ疑問である。

 だから、独立アドバイザーは決して、独立していない。

 投資アドバイザーと投資者の間に、利益相反のリスクがあることに注目してほしい。「PIBA保険ブローカーによる投資関連業務の実施における行動規範」(2014年3月1日改正)8.1条はこう規定している――。

 「顧客との利益相反は回避されなければならない。このような利益相反がある場合、顧客にこれを書面通知により告知しなければならない。顧客はこれらの利益相反の存在にもかかわらず、サービスの継続提供を望んだ場合、その同意の旨を書面により記載し、顧客により署名・日付を付されなければならない」

 このような手続を、投資アドバイザーがきちんと取っているのだろうか。現実は、目を覆いたくなるようなものだ・・・。

 あっという間の4回連載。まあ、一部の投資アドバイザーに憎まれる話ではあったのだろうが、決してすべての投資アドバイザーを批判しているわけではないし、また投資アドバイザーという業種・職種を否定しているわけでもない。むしろ、このような利害関係の問題から逃げず、真正面から向き合って顧客との信頼関係を構築していける、真の優良投資アドバイザーの出現を強く期待しているところである。

<終わり> <後続編=「海外投資者の会」の発足>

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