正しいことと間違ったこと、利益よりもまず不利益が前置き

 4月21日(土)夜、マカオ航空NX138便で上海虹橋空港に到着。荷物受取場(ターンテーブル)では、スタッフが注意喚起のアナウンスを繰り返している――。

 「自分の荷物かどうか、よく確かめたうえでお取りください。他人の荷物を間違って取ってしまった方には、明日、もう一回ここ、ここ空港へ交換しに来てもらいますから。いいですか、空港へもう一回来てもらいますからね。それから、間違えられた荷物の乗客から損害賠償を求められることもありますから、すべて自己責任ですよ」

 日本ではあり得ないアナウンスだが、私は思わず吹き出しながら拍手を送ろうと思った。

 「正しいことをしよう」というのではなく、「間違ったことをしたら損する、罰せられる」を強調するのはいかにも中国的であって、損したくないという合理的経済人の心理をうまく利用したアプローチである。

 企業の管理もまた然り。「正しいことをした場合の利益」がさほどないならば、「間違ったことをした場合の不利益」をしっかり設定し、それを強調しなければならない。いや、正確に言うと、むしろ利益よりもまず不利益を前置きとすることが鉄則だ。

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