「サファリ」というのは、どういうことか。つまり、日本語で正確にどう表現すればいいかということだ。
面白いことに、アラビア語やスワヒリ語では旅行のこと、英語では狩猟隊を指している。中東やアフリカの人たちにとって人生は旅だという意味でそう解釈されても不自然ではないが、ヨーロッパ人からすればどうしても冒険的遊興の成分が大半を占めてしまうのである。
客体は動物である。動物を見に行くだけなら、動物園でも十分だろう。きれいに区画された動物園では、ライオンならライオン、虎なら虎、キリンならキリンと決まった区画へいけば、必ず見たい動物が見れるのである。
しかし、サファリは違う。広大なサバンナを徘徊しながら、動物を探すのである。必ずしも見たい動物が見れるとは限らない。その一方、予期せぬサプライズで歓声を上げることもあろう。要するに何時、どこで、どのような動物に出遭えるかはまったく予測も予定もできない。
その不確定性がサファリの醍醐味なのだ。
すると、サファリの場合やはり遭遇率の低い大物を狙いたくなるものだ。「ビッグ5」とか「ビッグ3」と言われる大物は絶対数が少ないだけに希少価値が高いのである。
中でも最ものビッグとはやはり、ライオンしかない。エトーシャでの初サファリは夕方。2時間という厳しい時間制限のなか、果たしてライオンに出遭うことができるのだろうか。
ガイド兼ドライバーのセブンさんもかなり緊張気味。時がどんどん流れていく。夕陽がサバンナの彼方に落ちていくのを眺めながら、焦りが募る。やはり、ダメだったか、今日は・・・。
※本文の写真はすべて、エトーシャ国立公園で撮影したものである。