タンジョン・ジャラ(1)~開発は必要か、マレー半島東海岸の課題

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 6月23日(土)。週末はマレー半島東海岸のリゾートで過ごすため、クアンタンから車を走らせ、クアラトレンガヌ方向に向けて北上する。

 マレー半島の東海岸。西海岸に比べると、「未開発度」がいかに高いか。一面と広がるアブラヤシと熱帯林という単調で美しい車窓景色は百キロ以上も続く。

 現代社会では、「開発」や「発展」といった概念はあくまでも「善」とされる側面が強い。この自然豊かなマレー半島東海岸もまさに開発されようとしている。

 昨年2017年8月に、クアンタンで東海岸鉄道の着工式が行われた。路線はタイ国境付近からマレー半島の東海岸を経由しクアンタンの港に到達、さらに半島を横断してクアラルンプールや西海岸のクラン港まで結ぶ計画だ。総延長は688キロ。

 もちろん中国が絡んでいる。工事は中国インフラ建設大手、中国交通建設が引き受ける。総工費は550億リンギットに上り、中国の銀行が融資を実施するという、まさに中国系企業総動員の巨大プロジェクトである。

 中国べったりのナジブ政権の決定事項だったが、現在マハティール新政権によって全面的な見直しが行われている。すでに一部資金の投入が実施されているだけに、難しい課題になるだろう。

 経済的に遅れている東海岸地域の経済の底上げを担う事業として、沿線3州の経済成長率を1.5%引き上げる効果があり、建設工事によって数万人規模の雇用が生み出されると推算されている。

 と、やはり経済発展という「善」の側面が強調されている。しかしながら、東海岸は果たしてこのような「善」を全面的に受け入れる用意ができているのか。そもそもその意思はあったのか。答えは決して1つだけではないはずだ。

 昼頃、タンジョン・ジャラに到着。

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