マリンド・エア初搭乗、謎のポジショニング

 今回のベトナム出張は、初めて謎のマリンド・エア(Malindo Air)を利用してみた。

 謎というのは、マリンド・エアはFSC(フルサービスキャリア=従来型の旅客サービスを提供する航空会社)とも、LCC(ローコストキャリア=格安航空会社)ともいわれているからだ。一体どういう航空会社なのかと、興味津々だった。

 まず、ビジネスクラスの場合、座席はFSCと何ら変わりもなく、ゆったりしている。むしろ同じボーイングB737型機で比較すると、マレーシア航空よりも一段とグレードが上だ。エンターテイメントも一通り完備している。

 次に、食事。通常のFSCよりややグレードが落ちる。クアラルンプール発のホーチミン行きは短距離のためか、ワイン搭載なしだが、帰りのハノイ発便はフルサービスだった。これに関して、マレーシア航空も最近短距離のベトナム線ではアルコールを搭載していないことが多いので、マリンドに大きな遜色とはいえない。

 細かいところをいうと、マーガリンが使われているところ、少々安っぽい。食器のグレードも低い。

 さらに、ラウンジ。面白いことにクアラルンプール空港ではラウンジがなく、食事クーポンの支給になっている。いくつかのレストランから好きなところを選んで食事する形態をとっている。ラウンジのマンネリ化した私にとってはかえって都合がいい。帰りのハノイ空港ではラウンジ付き、さらにラウンジから搭乗口までバギーサービスまで付いている。

 まずいえることは、エアアジアとの差が一目瞭然で、LCCの殺伐とした雰囲気は皆無ということだ。運賃に関しては、FSCよりはるかに安いが、LCCに比べるとやや高めになっている。

 そこがマリンド・エアのポジショニングなのかもしれない。プレミアムLCCよりも、ローコストFSCといったほうが良さそうだ。ただ、エアアジアほどの搭乗率がなく、採算性が懸念事項だ。

 FSCとLCCの間に果たしてニッチ市場が存在しているのか。大変興味深い。マリンド・エア、個人としては応援したい航空会社である。

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