ペナン食い倒れ日記(5)~豪快に海鮮と日本酒、屋台街で舌鼓

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 第4ラウンド。屋台街を抜きにしてペナンは語れない。2日目の夕食は、ホテルの真ん前にある「紅園」(Red Garden)というホーカーセンター(Hawker Centre)で食べる。

 ホーカーセンターとは、廉価な飲食店の屋台や店舗を集めた複合施設のことで、いわゆる屋台街や屋台村のような存在だ。多数の屋台店舗に共同のシッティングエリアが設けられており、好きな店舗で好きな料理を頼んでテーブル番号を伝えておけば、出来上がった料理をテーブルまで運んできてくれる。そこで支払いを済ませる。という合理的なシステムだ。

 なんといってもまずシーフードを食べたい。大型海鮮料理店ではないので水槽こそ用意されていないものの、鮮度の良さそうな魚介類が並べられている。

 大きな大きなジャンボ車エビに惹かれた。2匹合計で34リンギット、普通の屋台料理と比べたら何倍もする値段だが、何せシーフードだから仕方がない。バター焼きとガーリック焼きの2種類の調理法で調理してもらい、プリプリした身が異なる風味で食べられるのが嬉しい。

 次は魚だ。身が厚くて美味しそうな魚があったので、シンプルな塩焼きにしてもらう。これ、黒鯛なのかな。英語が良く通じず、結局身元不明のままで注文<※補記>。マレーシア地産の魚はほとんど東海岸(南シナ海)から獲れたもので、少々熱帯っぽい人相ならぬ魚相があって面白い。

 焼くこと20分。テーブルに上がってきたこの1品、焦げ目が目立って見てくれは悪いが(というか、プレゼンテーションが悪い)、味は抜群に素晴らしい。やはりそのプリプリ感、たまらない。赤とグリーン混じりの輪切りチリをパラパラとかけていただく。汗が吹き出るところ、クライマックスを迎える。

 一気にトーンが上がる。酒も進む。なんと、隣のローカル風和食系屋台で日本酒を売っていたので、2本も空けてしまった。日本酒と焼き系海鮮の相性は素晴らしい。

 まだまだ食が続く。

<※補記>

 後日マレーシア人の友人から教えてもらったが、この魚は、黒マナガツオだった。

 マナガツオには、白、グレーと黒の3種類あって、マレーシアでは明確に区分されていないようだ。中華系ではみんな「鯧魚」(チャンユィー)と呼ばれている。白またはグレーのマナガツオは淡白で中華式の蒸し料理に向いているが、黒マナガツオは白やグレーに比べるとやや生臭さがあるようで(私にはあまり感じられなかったが)、焼きやカレーにして食べるのが一般的だ。辛味噌や唐辛子をかけると、風味が引き立てられる。

<次回>