私は関西、大阪大好き人間。機会があるたびに、大阪だけは1泊でも多く滞在するようにしている。
大阪が好きになった理由?もちろん食べ物もあるが、80年代に初めて大阪へ旅したときに、地下鉄に乗ると、車窓に張られたあるポスターが決定的だった――。
「チカン、あかん」
私がベストキャッチの審査委員長なら、これをベスト賞にしたに違いない。関東だったら、「痴漢は社会の迷惑だから、止めなさい」のような長々と説明の入った文言になるが、この6文字にはすべて凝縮されているように思えて、痛快だった。
美食もいいが、やはりたこ焼きが食べたい。大阪に来ると。なぜだろうかね。そればかりは自分も説明できない。あの量産風景に惹かれて、たこ焼きの量産だけは容認してしまう自分の美学はもはや非論理的だ。
そうだ。美学だから、論理的である必要はない。熱々のたこ焼き、あの粒を口に放り込んでフーフーして頬がる自分が世界一の幸せを独占しているように思えてしまうのも、また論理では説明できない。
そんな大阪が大好きである。