南部アフリカ紀行(27)~巣立たぬ鳥の集合住宅、限界なき肥大化続く

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 ナミブ砂漠をドライブすると、時々不思議な風景に出会う。木の上に奇妙な物体がぶら下がっている。

 「鳥の巣だ」。ガイドのセブンさんが教えてくれた。随分大きな巣だ。中に直径2~3メートルに達するものもある。巨大な鳥の巣にどんな巨大な鳥が棲んでいるかというと、実は普通の鳥がなんと数十匹、多いところは数百匹も棲んでいるのである。

 鳥の場合、普通は雛が成長すると親元を離れ巣立ち、別の巣を作るのだが、南部アフリカ地域の一部の鳥はなんと成長しても巣立たず、そのまま親元に居候する。ただ同室ではまずいので、壁や仕切りで別室を作って同居する。まさに二世帯住宅の鳥の巣版。

 またこの子供たちが成長してさらに子供が生まれた場合、同じ原理でどんどん部屋を増築し、三世帯四世帯住宅へと肥大化していくのだ。そのうち数十匹、数百匹規模になると、まさに鳥の集合住宅ができあがる。

 さらに面白いことにこの集合住宅は単純な個室の集合体だけではない。鳥たちは小さな枝で編み、草や羽、綿で一つひとつの部屋を区切り、部屋は単独の入り口をもち個室となるが、きちんと通路や「ロビー」などの共用部分も設けられているという。

 要するに、バード・コンドミニアムだ。

 この集合住宅の建設工事はもちろん鳥たちの共同作業によって行われるが、なかに自分の個室作りに集中し、共用部分の建設作業をさぼる鳥もいる。すると、監視役に捕まった怠け者鳥たちはただちに村八分を喰らって集合住宅から追い出されるのである。まさに社会的制裁措置まで用意されているわけだ。

 では、なぜこのような巨大巣をつくるのかというと、温度差の激しい地域において個別巣よりもこのような集合巣のほうが断熱効果が発揮でき、ぬくぬくとした住環境に鳥全員が快適に暮らせるからだ。

ガイドのセブンさんと

 「質問があります。重量の問題です。いくらなんでも、どんどん増築していずれは限界に達します。重さに耐えられなくなると、巨大巣はどうなりますか」。私の質問には、考えもせずセブンさんが答える。「それは巣が全体的に崩落します」。やはりそうなのか。

 「では、その限界を鳥たちは知ってますか」
 「構造的に調整してバランスを取っていますが、限界は知らないでしょう」
 「それで無制限に増築していくのですか」
 「そうです、無制限に増築していきます。巣全体が崩落するまでです」
 「崩壊したら、どうしますか」
 「鳥たちはまた新たな巣を作ります」

 驚いた。日本社会はまさにこの巨大な鳥の巣にそっくりではないか。最終的な出口としてやはり一度崩壊するしかないという私の持論だが、このアフリカでは、不意にもこれを裏付ける自然界の法則が見つかったような気がする。

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