「中国は大丈夫だ」という日本人の心理と論理

 新型コロナウイルスの地獄圏がどんどん広がっている。

 ここ数日中、日本から上海など中国(常駐や仕事)に帰還した日本人のなかに、「中国はよく頑張っている」「街の状況が落ち着いている」「鐘南山さんの予測を信じている」などと発言する人がいる。(注:鐘南山氏=中国国家衛生健康委員会専門家チーム長、氏は疫病は2月中旬までにピークに達し、そこから好転すると予測していた)

 自分に「大丈夫だ」と言い聞かせる、そうした心理や気持はよく分かる。人間はつねに自己行動を正当化しようという本能があるからだ(もちろん、私自身もそうだ)。

 「悪いことになったら、どうするか」という問いから逃げ、「悪いことにはならない」という論点のすり替えである。この2つの命題は、前者が理性、後者は情緒的、非論理的なものだ。

 自分の行動を正当化しようと思えば、それを裏付けるエビデンスが必要だ。結局のところ、中国政府筋の情報源にたどり着く。彼・彼女たちは決して洗脳されたわけではなく、単に自分の行動を正当化しようと、その裏付けがほしいだけである。

 内心では恐れているかもしれない。葛藤に満ちているかもしれない。気の毒だと思う。逆に、「リスクは覚悟している。最悪になっても、自分の責任でサバイバルする。日本政府の救援機や救援船の世話にならない」と言い切れば、それはそれで凄いキャラクターだ。私にはできないが……。

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