「もし」論と「大丈夫」論、無責任化の醜悪ニッポン社会

 「もし、悪い結果になったら、どうするか」
 「いや、大丈夫だ。悪い結果にはならないだろう」

 という論理の戦いが日本社会に常に存在している。今回の新型コロナウイルス危機に殊に際立つ。ウイルスの拡散抑制策がそうだったように、東京マラソンも、これからのオリンピックも、ここまで酷い状況になったら、開催を中止するとか延期するとか、という議論が出た時点で叩かれる。

 大丈夫だろう。そこまで状況は悪くならないだろう。リスクの話を持ち出した人間は悪者扱いされ、「煽動」やら「デマ」やらすぐに封印される。私はあえてこの行動を批判しない。たった1つの質問だけさせてもらいたい――。

 「もし、悪い結果になったら、誰が責任を取るのか。どのように責任を取るのか?」

 「すべての責任はこの田中角栄が負う」という責任の取り方が昔の日本にあった。しかし、それができる政治家や権力者、あるいは企業経営者はいま、いるのだろうか。1人もいないだろう。これほど無責任なことがあっていいのか?日本社会は1億総無責任化したのである。

 悪い結果になったら、「想定外」「未曽有」で逃げる。だから、今、ここで、事前に「想定外」「未曽有」を想定して対策を打とうと言っているのではないか。これこそ責任ある行動ではないか。なのに、「煽り」や「デマ」のレッテルを張り、封じ込める。もう無責任の一線を超えて、犯罪に等しい。

 新型コロナウイルスの拡大でいよいよ日本が危うくなってくると、国民に「マスクと手洗いの励行」「人混みを避けよ」とよくも平気な顔をしていえるものだ。恥をまったく知らない。半月以上も前に中国からの入国者を完全遮断すれば、いまこんな酷いことになっているのだろうか。それも「想定外」か、それとも「未曽有」か。あっそう。WHOの発表に従っただけ?それだけなら、総理大臣も政治家も要らないだろう。ふざけるにも程がある。

 安倍氏の「無罪抗弁」。野党に桜ややじ問題で足を引っ張られてウイルス対策ができなかったと。まったくの論点のすり替え。安倍氏は1月下旬から、「コロナの1種伝染病指定」「中国滞在者の全員入国制限・隔離」を言ったか?野党がこれらに懸命に反対したか?

 モリカケも桜も、私はずっと安倍氏を支持してきた。そういうのはどうでもいいからだ。今回だけはどうでもよくない。命にかかわることだから、退場してもらいたい。安倍政権支持率が急落している。これからもっと落ちるだろう。多分、このような「支持→不支持」の方がたくさんいると思う。

 「最善→次善→次悪→最悪」があって、安倍氏は最善でなくとも、次善や次悪で、ほかに最悪がたくさんあったことは間違いない。しかし、今回は、安倍氏は最悪中の最悪になった。これに反対する方がいたら、私は聞きたい。もし、あなた自身、あるいはあなたの家族が日本でコロナに感染し、死にそうになっても、最期の言葉として、安倍氏が最悪ではないといえるのだろうか。

 同胞がウイルスにやられているなか、それでも安倍氏に免罪符を与えるのだろうか。日本社会は醜悪に満ちている。

<2月19日補記1>

 感染症を専門とする岩田健太郎・神戸大教授が、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号内の様子を語る動画(https://www.youtube.com/watch?v=W3X3RSmf7ds)。是非拡散していただきたい。是非多くの日本人に見ていただきたい。日本はどれだけ酷い国かを知っていただきたい。

 今回の新型コロナウイルスの拡散。安倍政権が初動に遅れ、大問題を起こした。これだけではない。現在でも杜撰な状態が続いている。さらに、これから問題が拡大し、情況が悪化するのが必至だ。

 台湾のレベルと比べられない。いやいや、それどころか、アフリカや中国以下である。日本人のみなさん、自分は自分で守ろう。それから、安倍政権を倒そう。日本を作り直そう!

<2月19日補記2>

 岩田教授という人物が危険だとか、怪しいとかそういう言説が散見されるが、私は、日本社会のこの種の、すぐに「誰々が言った」で判断する風潮が大嫌いだ。「Who」よりも「What」。

 岩田氏の動画は、基本的に事実関係と個人見解という2つの要素(部分)から構成されている。事実関係に捏造があるとすれば、具体的に指摘すれば良いと思う。ご本人の見解なら、冒頭の「個人見解」の声明があったように、それは岩田氏本人の見解だから、言論自由の域にあたる。

 「素人同然の役人が船内でやっている」というような表現だが、現にダイヤモンド・プリンセスの惨状をみれば、そのような仮説があってもいいと思う。海外メディアを見ると、「船がすでにミニ武漢と化している」「武漢のデータは逆に船から取れる」類の報道も多数あるなか、特に氏の独自見解とも思えないほどだ。

 政府が初動に遅れたことは、事実だ。政府は誠実かつ真摯に謝罪しているのだろうか。さらにいまでも対中遮断をしていないし、素人からみても、問題が多過ぎる。親日的な台湾からも、今回、日本批判が多数噴出している。

 そういうときは、このような批判、たとえ少々過剰な表現があったとしても、謙虚に受け入れるべきではないだろうか。と、私は思う。

<2月20日補記>

 岩田教授は「これ以上議論を続ける理由はなくなった」といって自身の動画を削除した。

 「議論を続ける理由がなくなった」とは何を意味するか、考えてほしい。それは議論よりも、現実、結果がすべてだということである。逆にこの程度の暴露レポートで、削除に追い込まれる日本社会の狭窄性が新たなネタになり、世界に露呈する。

 少々手厳しいことをいうと、「現場で一生懸命頑張っている人たちの気持ちを考えろ」とか、まあ、如何にも日本的。だが、そういえる場面ではないだろう。一隻の船が現に「ミニ武漢」と化した以上、どんな議論も無意味化する。

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