無料サービス・格安商品のどこが悪い?

 無料サービス。――私がいちばん恐れているもの。なぜ、無料か?ボランティアなら、ボランティアと明言すればいい。無料サービスは、ボランティアや寄付でない以上、絶対にどこか裏がある。その裏とは何か。

 もっともよくみられる無料サービスは、集客手段である。だが、無料サービスを提供するには、コストがかかる。そのコストは、成約した客から取り返すわけだから、無料サービスに引っかかった客はカモになる。

 無料サービスには、もう1つ怖いことがある。無料である以上、業者には責任がないのだ。取引には権利と義務が対等であり、金を払った(支払義務を果たした)時点でクレームする権利が生じる。

 格安商品やサービスも同様。私は警戒している。なぜ、安いのか?。激化した競争で生き残るための手段であることが多い。それは決して画一的な善ではない。

 私はいつも、格安商品やサービスの原価計算(推算)をする。業者にどのくらいの利益が出るかを知りたいからだ。ほとんど利益が出ない場合は、粗悪な原材料を使うか、社員を搾取するしかないだろう。

 粗悪な原材料は直接に消費者に悪影響を与えるが、業者の社員搾取はどうだろう。搾取、ブラック企業か準ブラック企業が増えれば増えるほど、日本社会の平均賃金を引き下げ、労働条件の悪化を招く。

 日本人は、給料が安いことに不満を訴えながらも、格安な商品やサービスだけは求めたい。それは、甚だ自己矛盾。両立できないものだ。

 論理的思考力の欠落、国民の未熟さ。その辺の問題が解決しない限り、日本社会全体の疲弊化が止まらない。繰り返すが、「安いほうがいい」というのは、誰もがもつ本能。しかし、「なぜ安いか」を考える人、どのくらいいるのだろうか。

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