「美味しさ」の秘密、スナック菓子はなぜ消費されるのか

 私は天然のナッツ類以外に基本的にスナックを食べない。スナック菓子類を食べ続けると「依存症」になるという話を聞いて、1袋だけ買って試食してみようと思った。

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 感想その1、独特な塩味とうまみの集合体。

 高血圧というのは、塩分の取りすぎといわれている。塩分を過剰に取らなければいいのに、人間はなぜか塩味を求めてしまう。私たちの祖先は3億年前に、海から陸に上陸したという進化論がある。そこで海水の塩分を求める生理的欲求がついたのだろうか。ただ、単なるしょっぱい塩辛さだけではダメで、一定のうまみと相まって食欲をそそられる。

 感想その2、歯ざわりと食感による刺激。

 せんべいもそうだが、歯が食べ物を割るあのパリパリの咀嚼音と食感に生理的・心理的刺激を受ける。しかも割れたスナックは一瞬にとろけてしまうという変化も一種の刺激になる。それだけでなく、量をこなす、多く食べてもらうために、長い咀嚼時間が阻害要因になるから。

 感想その3、満腹感のなさ。

 次から次へと食べていくと、満腹感が多食を妨害する。スナック菓子はやはり「軽さ」がポイント。基本的に1袋を1人で平らげても全く問題ない。TVや映画鑑賞のポップコーン感覚で大量摂取が可能だ。

 美味しく食べる、簡単に食べる、早く食べる、たくさん食べる、楽しく食べる、次もまた食べる。

 ――ここまで達成するために食品会社は多大な研究開発費を投入し、現代科学を駆使し、スナック菓子の開発に取り組んでいる。大量開発、大量生産、大量宣伝、大量販売、大量消費で経済成長に寄与する。

 あまりこういう話をしていると、食品会社の人ににらみつけられる。「うちの製品は、食の安全面ですべて法律をクリアしている」と。まあまあ、それは知っている。「食の安全」という概念がもてはやされる世間はどれだけ物騒か。小心者の私はそう感じて仕方ない。

 ご馳走様でした。ただ私は残念ながら、スナック菓子「依存症」になる見込みはない。

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