物産展の無駄、海外で売れない日本の農産品

 先日、マレーシアの某農産品業者社長と懇談する機会を得た。いわく日本の農産品のマレーシア(あるいはアジア)での輸入販売のチャンスはほぼゼロだと。

 現地の日系デパ地下の「〇〇物産展」などのキャンペーンで売られる輸入日本農産物の大部分は売れずに内部処分されているそうだ。結局、国や地方の補助金に食いつき、業者たちの一時的利益にしかならない。「物産展」の総括もなければ、リピーターも来ない。日本国民の税金の無駄遣いにほかならない。

 フェイスブックには様々なコメントが寄せられ、他の地域でも似た状況だという。コロナの真っ只中なのに、台湾で日本の観光展をやるとか、露骨な予算消化も珍しくない。

 農産物の話に戻ろう。日本の農産物は品質が高いことは確かで、海外でも一定の評価を得ている。ただ売値も高いので、必ずしも売れるとは限らない。以前アジアの富裕層に聞くと、「現地産より3倍も5倍も高いのはいいが、3倍も5倍も美味しいのか」という声もあり、かけ離れた値段は高いハードルになっている。

 海外とりわけアジアの富裕層を狙う業者もいるが、実は富裕層ほど価格にシビアである。彼たちは良いものを知り尽くしているので、コストパフォーマンスに対する評価も厳しい。富裕層なら金に糸目を付けないと思ったら大間違だ。お金持ちのなかに堅実な消費を超えて吝嗇家も少なからずいるくらいだ。

 さらに、現地産の品質改良も着々と進んでいる。なかに日本の技術や設備が活用されるケースも多い。価格と品質において日本産がすでに太刀打ちできない局面を迎えているといっても過言ではない。

 そもそも日本の農家は国内で農協という「怪物」と付き合いながらも利益の出ないことを嘆き、そこで海外に活路を見出そうとするのはナンセンスだ。外国人消費者を本気で取り組むなら、消費者をよく研究し、消費者目線の商品開発に取り組むのが先決ではないか。あるいは現地で農業に挑んでみるのも面白いと思う。日本産が世界一という自惚れは捨てよう。

 海外事業の現場を見てきた感想――。

 ほとんどの日本人・企業は、「製品」(What)、要する「供給」から入る。今まで作ってきた製品・商品(農産品に限らず)がいかに素晴らしいかを情熱的に訴える。しかし、商売とは、「顧客」(Who)「需要」から始まるものだ。外国人に売るなら、まず顧客層の目線をもつことが一番大事だ。

 とにかく謙虚に、謙虚に、ローカル化しかない。

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