屋根の補修工事、晴天にするか雨天にするか

 一昨日(11月27日)、出張帰りに福州空港の出発待合室で搭乗を待っていると、近くにある本屋の一角で、アリババグループの馬雲CEOの講演映像DVDが流れていた。

29788_2馬雲氏の講演録画が流れる福州空港の本屋

 耳に突き刺すような一節が聞こえた。以下原文(インターネット『馬雲語録』より)と邦訳を掲載する。

 「陽光燦々というときに、屋根を補修するのです。これは私の信条です。会社がもっとも好況のときは、大胆な改革を断行する時期でもあります。だらだらして、会社が潰れそうになって、いよいよ改革をやらないとダメだというときになると、リスクが大きすぎるし、またコストもかかりすぎる。だから、毎回、会社がもっとも繁盛しているときに、私は、必ず破壊的なアクションを起こします。いかなる破壊的で、現状否定的な改造も、この会社にベターな状態を保たせるためです」

 “我一直坚信,在阳光灿烂的时候要修理屋顶。公司形势最好的时候必须做一些大胆的改革,改革不能等到不行的时候才做,那时候风险太大,成本太高。所以每次在公司形势最好的时候,我一定会做一些破坏性的动作,任何破坏性、颠覆性的改造都是为了让这个公司保持更好的状态。”

 思い出せば、ちょうど前日の夜、会食の席で、顧客企業と企業制度改革の話になった。その会社は、いま受注が好況で、社内の制度をいじくったら、リスクがあるのではないかとの懸念があって、本社社長はなかなか首を縦に振らないだろうという話になった。

 好況のときだからこそ、制度改革を断行するのだと私が力説した。好況だろうと不況だろうと、どんなときでも制度改革にはリスクが伴う。では、制度改革をやらなければリスクはないのか?答えは明らかにノーだ。

 「アクションを起こすと、リスクがある。何もしなければ、リスクがない」

 これは、一番の誤解である。作為にも、不作為にも、リスクが伴う。屋根の補修工事は、晴れる日にするか雨の日にするか、判断するのが企業である。

タグ: