高島屋ホーチミン店視察、上質で豊かなライフスタイルとは?

 ホーチミン出張中に、開業して3日目の高島屋を視察。極めて個人的な感想だが、あまり楽観できない。

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 まず、ベトナムの富裕層をターゲットにしているようだが、セグメンテーションは明確に捉えられているとは思えない。「上質で豊かなライフスタイルの提案」というコンセプトは素晴らしい。ただ、ベトナム人富裕層が求める「上質」と「豊かさ」の内含をしっかり把握しているのか、そしてライフスタイルの提案は明快な形になっているのか、甚だ疑問である。

160802-1305-HCMC-高島屋高島屋が入居するサイゴンセンター

 次に、「上からの目線」と「希望的な観測」を感じずにいられない。特にメディアリリースを読むと、日本国内市場の斜陽化と日本ブランドを求める外国人客の増加という条件のマッチを成就させ、如何にも都合の良いように結論を導き出しているところに、強引さが目立ってしまう。

 さらに、シンガポール店の成功事例をそのままベトナムに引っ張り込もうとしている。この2つの国と市場の異質性にどのような差別化を施しているのか、ポイントが明確に見えていない。それよりも上海出店の大失敗についていまだに、「尖閣問題の反日デモ」を理由にしている稚拙な逃げ方を見ると、経営の姿勢に疑念を抱かずにいられない。

 余談になるが、上海店については、直近の報道では、「店舗近隣にある地下鉄に加えて、2017年にもう一路線が開通する計画で、交通アクセスの改善が見込める。鈍化したとはいえ、中国経済は成長を続けている。2022年頃をメドに黒字化することが目標だ」といった、楽観的な予測が書かれている。地下鉄の開設と売り上げ、必然的関連性があるのか。中国経済に関してもまた然り。

 ただ一点だけ。ホーチミン店のフード、飲食店舗は軒並み繁盛している。特に他フロアと比較してのギャップが余りにも鮮烈だ。

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