暴力沙汰に社印人質、テロ従業員が解雇に対抗!

 緊急事態!昨夜から、立て続けに顧客企業から緊急コール。

 いずれも、労働契約期間満了で、終了(雇い止め)と通告された従業員が引き起こした事件だった。

 昨夜のA社は、契約終了と告げられた従業員が上司のマネージャーを殴って、全治3か月の重傷を負わせた。上司はすでに被害届を警察に出した。従業員本人は事件以来、会社に顔を出さず、逆に会社へ「解雇」の賠償金を要求している。

 今日のB社は、契約終了と告げられた従業員が会社の社印と重要な資料を人質に取った。――「契約更新、継続雇用してくれなければ、印鑑を返さない。会社の資料も渡さない」と、テロリストだ。身代金は、「継続雇用」だ。

 A社もB社も、きちんと事前通告して、経済補償金も支払っているし、まったく合法的な雇い止めなのに、なぜこのような事態にまで発展したのか・・・

 違法解雇なら、従業員が訴えればよいが、合法解雇への対抗手段は、暴力やテロ、非合法手段しかないのだ。

 暴力はもちろんのこと、社印や会社の資料を人質に取るのも立派な刑事犯罪になりうる。いずれも、警察の世話になる事件である。

 怖いのは、このような個別な事件ではない。いざこのような事件を経験した会社は、神経質になりがちで、従業員への警戒心が強まれば、労使関係もますます悪化する。労使間の猜疑心が募るほど怖いものはない。

 会社の従業員・経営陣の身の安全、会社財産の安全・・・労働関係に関連して、心配事が増える一方だ。

 労働法専門の私は、最近、刑法をかじりはじめた。 

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