「新・共産主義」の構図、トランプとプーチンはなぜ叩かれたのか

 「共産主義」といえば、ロシアや中国といった定番。と、脊髄反射する人がほとんど。だが、共産主義は時代とともに変貌している。今日、グローバリズムはある意味で、「新・共産主義」に変質してしまっている。あるいはクラシック型共産主義の変異株といってもよさそうだ。

 マルクス時代は、「資本家階級 vs 無産階級」という対決の構図が単純明快だった。しかし、今の時代はほとんどの大衆は、程度の差こそあるものの、みんな「有産階級」になった。有産だけでなく、有権にもなったのだ。そうすると、新たな構図が出来上がった。それは、「国際金融資本家階級 vs (それ以外の)一般有産階級」である。

 マルクス時代と明らかに異なる点は、一般有産階級は搾取される側(被搾取階級)であることに自覚を持たないことだ。民主主義制度から恒久不変な権利を手に入れたと錯覚し、平等や自由といった美辞麗句に陶酔し、欲望の肥大化とともに、等身大の自分自身を見失ったのである。そしてその欲望は利用された。

 教育産業化とともに、必要以上に大学が林立し、誰もが高学歴を手に入れられるようになった。しかし、大学ではもっとも価値のある「思考力の育成」は決して行われない。そんな大学から出た若い人は、誰もが工場に入りたがらないし、農村にももちろん行きたがらない。

 工場は貧しい外国に移設され、農地が荒廃したところで食料も輸入に頼らざるを得なくなった。国境を越えた商業活動と政治活動が一体化したところ、グローバリズムの利益集団が出来上がる。それはつまり国際金融資本家階級である。グローバル化の最大の特徴は、サプライチェーンが長くなり、複雑化することだ。そうなればなるほど、中間利益を落とす機会が増える。よって、両端にある生産者消費者のいずれも搾取対象となる。

 個人経営の小店舗が消え、商店街が消え、細々と商売するチャンスさえ奪われ、たとえ大企業に入って働けたとしてもついに給料が上がらなくなった。

 家族の絆が破壊され、ジェンダーの差別やら何やら、憎悪や闘いに満ちた世界にされたのは、共産主義者にとって「階級闘争」が必要だからである。この点はマルクス時代とまったく変わらない。ただし、矛先は支配者・搾取階級に向けられては困るので、被搾取階級の分断が必要だった。そこで「人権」というツールの出番だ。

 その力関係の破壊者が現れた。それは、トランプとプーチンだった。トランプは見事に叩き潰された。今度はプーチンの番だ。さあ、プーチンは潰れるのだろうか。

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