コタキナバル(2)~キナバル山には登らない

<前回>

 11月14日(月)、コタキナバル2日目。早朝から車をチャーターしてキナバル山へ向かう。世界自然遺産に登録されているキナバル山は、東南アジアの最高峰だ。富士山よりも高い4000メートル級の山頂を目指すトレッキングは、人気を集めている。

 ただ私は、「山は登るよりも、遠くから眺めたほうが美しい」主義(あくまでも自己正当化的な言い訳に過ぎない)で、どこの山に行っても、決して登ろうとしない怠け者である。

 展望台近辺で懐いてきた犬と遊びながら、原住民市場で買い物する妻を待つ。原住民の医療条件をガイドに聞いたら、「彼たちはほとんど病気しないし、長生きする」と教えてくれた。加工食品を食べない、綺麗な水と空気、生活に困らない、という3条件だけ揃ったら、誰でも病気にかからないし、長生きできるという。

 展望台からDesa Cattle Dairy Farmという牧場に移動し、牧場見学と乳製品の試食。牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、さらにピザ(自家製チーズ)まで豊富な品揃えである。

 ナチュラルな味に惹かれ、これらの乳製品をマレー半島本土で販売する場所を尋ねてみたが、答えはNO。この牧場は規模が小さく、サバ州内の販売だけでも供給が足りないくらいで、本土に輸出するほどの余裕がないと。だったら、牧場を拡張したらどうかと聞いたら、笑われた。「その必要はない」ときっぱり。

 需要と供給、経済的利益の追求、そうした資本主義の原理が通用しない。素晴らしい山だ。

<次回>