コタキナバル(3)~アルパカ雑想雑談

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 キナバル山には、小さなアルパカ牧場がある。アルパカといえば、唾を吐くことで有名だ。そんなユニークな動物を一度見たくて足を運んでみた。案の定、入場するとまずは「唾を吐かれない」ための注意事項の説明だった。アルパカの体に触っていいのは首のあたりだけで、特に頭やお尻は絶対に触らないようにと。

 アルパカについて、私は2つの疑問を持ち続けてきた――。1つ目は、アルパカはいったい馬なのか羊なのかで、2つ目はなぜ唾を吐くのかだ。

 実はこの2つの疑問は、関連性があって専門家から解答が用意されている。まず、アルパカは馬でも羊でもなく、ラクダの仲間だった。そして、唾を吐くのは威嚇行為であって、それもラクダ科の動物の特徴だという。胃の数も、馬や豚は1つしかない単胃動物、牛や羊、ヤギは4つもある反芻動物、そしてアルパカとラクダは3つ(4つだが、第3と第4の胃は区別がない)と共通している。

 アルパカの唾は唾液と胃の内容物が混ざってとても臭い。要するにゲロなのだ。それが威嚇の武器であるから、唯一無二の強さともいえる。

 何よりもアルパカの中国語「草泥馬(チャウ・二ー・マー)」は、絶対に口にしてはいけない放送禁止用語なのだ。にもかかわらず、なんと2009年頃、中国では『草泥馬之歌』という歌が流行った。天真爛漫な歌声で爽やかな少年合唱にしたのは、中国人ならではのユーモアのセンスによる傑作といえる。

 随所に使われた当て字、これらの顕在的・潜在的意味をすべて理解できたら、あなたは間違いなく中国語超一級レベルだけでなく、中国政治・社会学専門家ともいえるだろう。

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