台湾統一地方選挙から考える、台湾や日本の対中対米姿勢

 11月26日に行われた台湾統一地方選挙。親中とされる野党国民党が大勝した。それはつまり、与党民進党の「抗中」政策は国民の支持を得られなかったことになる。そこで、日本にとってみれば、いわゆる「台湾有事は日本有事」も片思いと化す。

 台湾の民衆は決して親中にぶれたわけではない。経済と平和という2つの優先事項があって、アメリカの捨て駒という選択肢に「No」をつけ付けたのである。では、民意を汲んで民進党は「抗中」を弱めたり、2024年に国民党が政権を取った場合中国寄りに傾いたりするのか?

 答えは、「No」。なぜ?アメリカはそれを許さないからだ。民進党も国民党もアメリカの飼い犬だからだ。台湾は、民意よりもまず「米意」。結論(結末)は、1つだけ――中国の台湾進攻、戦争による「武統」(武力統一)。習近平もよく理解しているだろう。

 それにしても、台湾の民衆は理性的な判断を下したといえる。残念ながら、この点について日本だけはまだ悟っていない。米国の一本ではまずいこと。中国は憎らしくても、気持ちよく付き合っていく必要がある。

 「Pick a side」とは、どちらかの側に立つことを意味する。日本の文化には合わないはずだが、日本人は何故か太平洋戦争からはずっと「Pick a side」してきた。原爆を2度も落として50万人もの日本人を殺した米国にころっとくっつく、そんな日本人の心理を究明しようとする学術研究が沢山あっても、未だに定論はない。

 ただ1つだけ明らかになったことがある。このような「変節」は先方から見下される元になっていることだ。アメリカにも中国にも見下されている。一方、日本人はその上から目線には全く気づいていない。これが致命傷なのである。

 日本人よ!中庸とは何か、尊厳も実利も保てる対中対米の姿勢とは何か、シンガポールから学べ。

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