<雑論>米越関係の謎 / 新チャイナ・リスク / 新経済回廊 / 滑稽な戦い日本vs中国 / 日本の情報鎖国 / 鬼畜中露 / 技術は誰のものか

● 米越関係の謎

 ベトナムは米国との外交関係を最上位に引き上げる。ベトナムのチョン書記長が9月10日、バイデンとの会談で合意した。米越の外交関係を中国と同格になる。中国はこれをみて笑いが止まらない。

 中国からベトナムへの産業シフトで、中国を困らせるというが、エネルギーを含めてベトナムの産業サプライチェーンの上流は中国に握られている。ベトナム各地の工業団地に中国企業、または中国資本に浸透されている企業だらけだ。ベトナムが手にした米国発行の通行パスを活用するのは最終的に、中国だ。原産地などはでたらめでいくらでも張り替えられる。

 ベトナムはわずかの加工賃しか手に入らない。裏の中国に搾取されている。ベトナムは産業集積も自前のサプライチェーンもできていない。国土も市場も小さく、世界の工場や市場の次元で中国に取って代わるという仮説自体が成立しない。米越関係の格上げでベトナムも中国も得するが、米国は実質的な利益は何もない。

● 新チャイナ・リスク

 今年5月、米国半導体工業会(SIA)のジョン・ネウファー会長兼CEOが、インタビューに応じ、「米国政府のいわゆる国家安全保障上の懸念にもかかわらず、中国は米国半導体にとって最大の市場である」と語った。7月、米チップ大手インテル、クアルコム、エヌビディアの3社のCEOは、ブリンケン国務長官ら高官と会談し、バイデン政権に対し、中国での半導体に対する新たな規制を断念するよう働きかけた。

 会談の中で、インテルのキッシンジャーCEOは、中国向けの販売がなければ、世界最大のウエハー製造施設を建設する意味がないと述べた。インテルがオハイオ州に計画している「世界最大のウェハー製造拠点」は、中国からの発注がなければもはや必要ない。エヌビディアの創業者でCEOのジェン・スン・フアン氏も、エヌビディアの中国でのチップ販売を制限することは、他のブランドにチャンスを与えるだけだと述べている。

 中国は米国のハイテク産業市場の約3分の1を占め、半導体部品の供給源として、また製品の最終市場として、かけがえのない地位を占めている。中国にさらなる規制を課すことについて、米国当局は熟考する必要があり、中国市場からの撤退は果たして実務上可能かどうかの再検討を指している。多国籍企業に愛国心を植え付けることは、営利目的に相反すれば意味がない。 「多国籍」との名は、その企業が利益を追求することに国境はないという証である。

 日本企業も同様な立場に置かれることがある。政治と経済の対立により、政治のパワーに抑えつけられる企業は、利益の犠牲を強いられる。中国に起源しているだけに、新チャイナ・リスクと呼んでもよかろう。

● 新経済回廊

 米国、インド、中東、EUは、欧州・中東・南アジアを結ぶ多国間鉄道・港湾構想を発表し、G20で「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」に関する覚書が調印された。米国は世界的なインフラ整備で中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗しようとしている。

 新経済回廊はインドとアラビア湾を結ぶ回廊と、アラビア湾とヨーロッパを結ぶ回廊の2つから構成されている。それが実現できれば、中国の「一帯一路」を潰すまでいかなくとも、重大なダメージを与える。ただロジェクトはまだ検討段階であり、その実施手順や詳細なプロセスは今のところ明らかになっていない。特に資金調達の方法は不明だ。何よりも民主主義国家の政権交替は、これだけの長期プロジェクトに影響を及ぼしかねない。

● 滑稽な戦い日本vs中国

 習近平が岸田にこう言ってきたら、どう答える?「貴国の貿易総額の4分の1を占める日中貿易を全て止めても、WTOに訴えないから、どうぞ」。習近平はその日が1日も早く来るよう取り組んでいる。日本人はどうする?中国のサプライチェーンに「NO」というボイコット運動の欠片も見られない。

 某中国人エリートいわく。「中国は日本と本気で戦おうとしていない。力が違いすぎて戦ったらイジメと思われて格好悪いからだ。米中は敵同士だが、日中は違う。だから、仲良くしようよ」。だが、戦おうとする日本人がいる。それはそれでいいと思う。ただせいぜい本気度を示してほしい。外野で威勢を上げてもしょうがない。

 イスラム原理主義者のテロは、腰に爆弾を巻き付けて自分も死ぬのだ。日本人はせいぜい生活コストを2~3割切り詰めて中国サプライチェーンを切るくらいの覚悟がないとダメだろう。アメリカが半導体規制をしたら、中国は国産の7nm半導体を作った。日本人は?魚を止められただけで騒ぎ出す。見苦しい。実力行使でちゃんとやらないと、足元を見られる。

 無理?それはわかっている。

● 日本の情報鎖国

 最近、中国や台湾発の情報を日本語で検索しても、見つからないことが多い。フェイクニュースでなく、ゼロニュースだ。情報捏造より、情報遮断だ。日本語情報だけではもはや情弱状態だ。西側情報の一部だけ和訳して出しているのは、日本のメディアだ。日本の大本営愚民がますます増殖中。

 ここ数日(9月10日現在)のホットトピック――。「逆襲の華為7nm新機種続々発売、米半導体制裁失敗」「株価急落のApple戦々恐々、中国市場奪われる」。――こんな見出しが各紙の一面に出てもおかしくない。しかし、日本のメディアでは、ほとんど触れていない。完全に情報遮断。

 私の投稿記事は、中国、台湾、ロシア、中東を中心に情報を調達している。それに驚いたり違和感を抱いたりする人が多いのもそのせいだ。NHKとか朝日新聞とかの問題ではない。日本は情報鎖国で、思想統制全盛期だ。私の記事を読む人は、ラッキーだ。SNSでは馬鹿な反論のほとんどが愚民の脊髄反射で、対応する価値はない。

● 鬼畜中露

 日本はどのように戦争に突入したのか、よくわかるようになった。政府のプロパガンダ(特に汚染水放出の件)に、こんなに簡単にこんなに多くの日本人が乗せられて、騙されて、誘導されるとは、実体験でよく理解した。戦後80年経過したが、民度はそのままだった。いまだに、トリチウム放出マップを出す人がいる。

 プロパガンダはどこの国もやっている。しかし、日本政府がやっているプロパガンダは、国益に反しているのだ。

 日本人が大本営発表に騙された当時、情報ソースは1つしかなかった。80年後の今、ネットがあって情報が溢れていても、日本人は同じく大本営発表に飲み込まれる。「鬼畜米英」が「鬼畜中露」に置き換えられただけ、愚民の本質は変わっていない。いつか親分が変わった時点で、日本人はころりと豹変し、「同文同種」で中国に土下座する。理屈ならいくらでも作れる。

 そんなものだ。

● 技術は誰のものか

 中国の製品が飛躍的に発展した。という話をすると、必ず、あれこれベースにあるのは日本の技術だという反論や批判がやってくる。それを言うと、日本は戦前から西洋の技術を真似してきたし、漢字も中国から来たものだ。世の中、本当の独創はほんの僅か。基本的に真似から成り立っている。

 特許違反なら訴えればいいし、リバースエンジニアリングはあって当然。人材の引き抜きなら、技術者の待遇改善が欠かせない。何より海外生産に切り替えた時点で技術流出の覚悟をしておくべきだろう。負け犬の遠吠えだけはやめよ。見っともないから。

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