中国を嫌いな日本人は8割を超えているという。しかし、そんなに嫌いな国と付き合わざるを得ない事情が日本にある。
内閣府が2月3日付けで公表した報告書「世界経済の潮流」によると、中国からの輸入依存度について、日本は中国からのシェアが5割以上を占める輸入品目が2019年に1133品目と全体(約5000品目)の23%に上る。中国からの供給が滞った場合には、日本経済が致命の一撃を受けることになる。
要するに、中国のサプライチェーン(供給網)は日本経済の命綱なのだ。日本は資本主義の自由経済国家である。消費者は自由意志によってより安くて良い製品を求める。そうした背景において、中国製品やサプライチェーンが日本市場に浸透したのであり、政府の一存でそれを駆逐することができない。国民の意思に反して政治的決断で経済に介入した時点で、政治家はただちに落選し、政権交代になる。
しかし、中国は違う。一党独裁国家であるから、指導者は政治的判断で経済を操ることができる。要するに、経済の問題を政治的に解決できるかという問いに対して、中国はイエスで、日本はノーである。さらに、中国は日本に対して逆に政治の問題を経済的圧力によって解決することができるのだ。
日本人の世論調査で8割以上の嫌中回答だが、アンケートにもう1問を追加してほしい――。「生活コストが1割2割上がっても、あるいは給料が1割2割下がっても、脱・中国サプライチェーンを断行する。イエスかノーか」。もっとも嫌中の保守右派でもノーが続出するだろう。
マルクス主義の史的唯物論では、上部構造は最終的には、経済の土台(下部構造)によって決定されるという弁証法的相互関係を説いている。マルクス主義を熟知する共産党はまず政治の独裁(譲れない一線)から入るわけだ。
だから、日本の政治家を責めても仕方がない。結論からいうと、中国は自壊しない限り、日本には勝ち目がない。