コンサート会場の出来事、変わる中国と変わらない中国

 山岡さんのブログ記事「変わる中国」を読んで、ちょうど同類逆パターンの出来事を体験したばかりなので、紹介しよう。

 昨日、4月30日土曜の夜、定例のコンサート鑑賞に出かけた。前列には幼児連れの若いカップルが座っていた。一瞬、これだけ小さい子でもコンサート会場に入場できるのかと不思議に思った。

 まもなく開演すると、お子様はアイスクリームを食べながら、ぴょんぴょん跳ねて、一向に静まる気配がない。両親は放任したまま、まったく注意しようともしない。これ以上耐えることができない。私は子供の肩を軽く叩いて、静かにするよう注意した。一回注意してもなおおさまらず、二度注意してやっとお母さんが渋々と子供を押さえつけて、やっと一件落着となった。

56040_2アンコールのコンサート会場

 休憩時間になると、お父さんが私に食ってかかってきた。「あなたは、なぜうちの子を打ったんだ。ただじゃすまんぞ」

 「軽く叩いて注意しただけです」
 「いや、叩くんじゃない。打ったんだ。他人がわが子を叩いても打つことになる。注意するなら、親が注意するもんだ。あなたに、お願いした覚えがねえ」
 「親が注意しないから、他の観客の迷惑になっているから、私から注意したんですよ。そもそも、幼児をコンサート会場に連れ込む親の方に問題があるんじゃないですか」
 「私たちは、主催者に招待されたんだ。幼児入場禁止なんて言われてねえ。幼児だろうと、赤ちゃんだろうと、誰だって会場に連れ込むのはおれの自由だ。チケットは、ちゃんと一人前あるんだぜ」

 「コンサート鑑賞のできる人とできない人がいるんですよ。マナーご存じでない方、言っても無駄ですよ」。後ろの列から、老紳士が口を挟んだ。

 なるほど、同じ土俵で議論が進んでいないことに気づいて、私は対話を打ち切った。あとで、入場券の裏を見ると、やはり、「乳児幼児入場禁止」になっていた。主催側関連者の特権なのか、あるいは入場券売上至上主義のコンサート会場の問題なのか分らないが・・・

 産業構造改革の一環として、中国は文化産業の発展に、注力すると新政策を打ち出している。オペラハウスやコンサートホールを次々と建ててもよいが、まず人間の文化的教養水準を抜本的に引き上げないと、真の文化産業は育つはずがない。

 そういう意味で、山岡さんが書いた記事は、とてもいい事例である。注意する人がいる。そしてたとえ禁煙ルールが設けられていなくても、たばこをさっさとやめる人。このような微笑ましいシーンが中国のあちこちで見られる日は、真の意味で、中国が世界一の強国になっている時である。

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