<雑論>チェコの変節 / 日馬首脳会談の真相 / ジャーナリストや学者 / メディアの分類 / 戦争の勝敗

● チェコの変節

 チェコといえば、台湾の友好国(国交はないが)で、親台反中の急先鋒。しかし、そのチェコのまさかの変節を示唆する事象があった。先日北京で行われた中国王毅外相とチェコのポヤル国家安全保障顧問との会談。普通は両国の国旗が掲げられた会議場だが、今回は書道の掛け軸を背景にした異例な場所であった。

 「沿途一望,生機蓬勃」と書かれた書道は毛沢東によるもので、「一路眺望すれば、活力旺盛な前景」と。両国の関係において明るく活気に満ちた将来を、中国が一方的に示すのなら、片思いにすぎず、一蹴されれば面目丸潰。中国にはやり得ないことだ。だとすれば、すでに双方に何らかの合意がなされていたと見るべきだろう。裏返せば、チェコの変節で台湾が裏切られることになる。世の中、すべてが経済的利益。

● 日馬首脳会談の真相

 訪馬中の岸田首相は11月5日、マレーシアのアンワル首相と首脳会談を行った。日本の報道では、「安保分野の連携強化を確認」一色。いかにもマレーシアが日本と連携して中国に対抗するかのような印象だが、まったく違っている。マレーシア現地メディアでは、日馬首脳会談には4つのテーマがあったと報じ、双方の応酬は概ね以下の通りだった。

 1. 「核汚染水を流すな」――日本の核汚染水放出について、アンワル首相は、深刻な懸念を示し、日本側に放出中止を含めて再検討を求めた。
 2. 「米・イスラエルに追随するな」――イスラエル・パレスチナ紛争について、アンワル首相は、イスラエルがガザ地区で投下した爆弾は、広島原爆の1.5個分にあたるとし、米・イスラエル寄りで広島出身の岸田氏を皮肉った。
 3. 「金を寄こせ」――アンワル首相は、日本の対マレーシア投資の増額を求め、岸田首相が承諾した。
 4. 「マレーシアの親中姿勢は変わらない」――岸田首相の安保連携提案について、アンワル首相は「うん、うん」と頷くだけで、実質的なコミットメントはない。

 この通り、日本の報道は、都合の悪い内容をほぼすべてカットして、安保連携についても、色を変えて表現した。同じネタでも異なる報道をみていると、メディアの情報操作がはっきりわかる。

● ジャーナリストや学者

 ジャーナリストや学者を神聖視するな!少しばかり上等な飯を食い、快適な家に住み、愛する家族を養い、可愛い子供をマシな大学に送り込むために、彼たちは、給料、原稿料、印税、研究費が必要なのだ。これらのスポンサーのお金、あるいは特定の読者・視聴者のお金を手にした時点で、彼らは結果ありきでものを書き、ものを言う。結果・結論に合わせて文脈を逆方向から作るスキルが一流になればなるほど、論理的思考力を失う。いや、捨てざるを得ない。だから、彼らは私と議論できない。論法が根底から違うから。

 彼らを神聖視しないこと。昨今のジャーナリストや学者は、広告会社の企画やプロデューサーと同じようなサラリーマンだと考えれば良い。彼らに過剰な倫理的なプレッシャーをかけないでほしい。彼らも生身の人間だ。私?私はジャーナリストでもなければ、学者でもない。だから、偉そうに言える。それだけの話。

● メディアの分類

 メディアには、概ね以下4種類(4つのレベル)の報じ方がある。

 レベルゼロ――。物事の異なる側面、敵対する両方を公平に取り上げ、4W1H(When, Where, Who, What, How)に沿って事実関係のみを報じる。善悪の判断を行わないのが基本だ。ニュースとは、空気や水同様、無臭無色なものである。今の世の中、レベルゼロに近いのは、アルジャジーラくらいだ。

 レベル1――。スポンサーに都合の悪い情報を基本的に報じず、都合の良い情報だけを取り上げて報じる。嘘はつかないが、選択的な報じ方である。情報隠蔽と言われることもあろうが、現実的にメディアを産業・ビジネスとして捉えたうえで、やむを得ないだろう。

 レベル2――。スポンサーに都合の悪い情報をほぼ切り捨て、都合の良い情報だけを切り取り、修飾を施し、善悪判断を加えたうえで報じる。ニュースの評論化・社説化が甚だ見苦しい。今の日米・西側及び中国のメディアのほとんどがこのレベルにあたる。一般大衆向けのプロパガンダ機関といえる。性質的に広告会社とほとんど同じだ。

 レベル3――。ファクトの検証をしないこともしばしば。特定の倫理観や価値観に基づき、特定の政治的目的を有し、または経済的利益を中心に、結果ありきの論理づくりが目立ち、メディアとは言えない代物である。

● 戦争の勝敗

 戦争は、3つの主たる形態を有している――軍事戦、政治戦、世論戦。

 ウクライナ戦争では、米国は政治戦と世論戦で大勝している。ロシアは軍事戦で辛うじて勝利を勝ち取りつつ、米国は敗北の様相を呈している。一方、ガザ・パレスチナの場合、イスラエル・米国は軍事的に圧勝する力を持っているが、政治戦と世論戦ではほぼ完敗し、欧州の支持まで失い、国際社会での孤立が深まる一方だ。

 米国の総合得点は?残念ながら、落第と言わざるを得ない。これらの戦争によって、米国の基盤が大きく揺れ、不安定なものになろう。世界は大きく変わろうとしている。

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