中国の復調、日本人は妬みを捨てて現実を視よ

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 予想通りの展開。中国は間違いなく回復に向かっている。

 西側メディア、ブルームバーグもゼロコロナ解除の効果を認めざるを得ない(2023年1月31日付記事「中国経済活動が急回復、1月のPMI示す―ゼロコロナ解除効果大」)――。

 「製造業と非製造業PMI、いずれも4か月ぶりに50を上回る。『ゼロコロナ』政策の解除に伴う経済再開が続き、春節連休が旅行や消費を後押しした。建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは54.4。先月は41.6、市場予想は52だった。サービス業の活動だけを測るサブ指数は54と、前月の39.4から急回復。非製造業PMIの雇用指数は46.7に改善し、5か月ぶりの高水準となった」

 中国経済はこれで順風満帆に行くとは思えないが、最悪期を脱したことは間違いない。

 西側の真似かどうかわからないが、日本人の中に中国が出れば、何でもとにかく悪評する人が多い。経済の好転に対しても、「(コロナ政策で)多くの国民を犠牲にした結果」「まだコロナの波がやってくる」「独裁支配が続く限り中国には将来がない」類の言説がSNS上に流れている。

 希望的観測のバイアスがかかった状態で、見たくない事実・反証を拒否し、事実認識から逃避し、価値判断で誤魔化す。ニーチェいわく「強者が力で世界を変えるが、弱者は解釈で世界を変える」(主旨)、まさに後者の典型的な症状、妬みやルサンチマンだ。

 日本人のなかに反中嫌中者が多いが、反中原理主義者はわずか1%でもいるのだろうか?原理主義者とは、爆弾を腰に巻き付けて自爆するほどまで行かなくてもいい。せいぜい中国サプライチェーンを切って生活コスト2~3割アップするだけでもいいから、受け入れてもらえるかというと、ほぼNOの状態だ。

 「頭が反中で財布が親中」では、あまり美しいとは言えない。自己矛盾や多重人格と言われたらオチだ。日本人には言行一致という美徳があるはずだ。実践しよう。「反中」をはじめ、「反露」「親米」「援台」「アベ支持(反対)」「反独裁」「民主主義」といった符号をすぐに持ち出し、世界を単純二元化するのは、アホの象徴。右も左もない。アホはアホ。

 世の中は結局、経済力がほぼすべてだ。さらにもし台湾戦争を制した場合、中国はアメリカを凌駕し、世界の帝王になる(善悪は別として)。歴史的には、イギリスが衰退し、アメリカに取って代わられたが、今はアメリカが衰退し、中国に取って代わられようとしている。

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