50元のS席、肉屋の子でも世界の音楽殿堂入りが夢じゃない

 国慶節のチェコ旅行に先立って、今日たまたまチェコ・テーマのコンサートがあったので、さっそく上海音楽庁に足を運んだ。

 朝10時30分からの開演で、「ウィークリー・ラジオ・コンサート」といって、東方ラジオ(FM94.7)の生放送番組である。1982年の初放送以来レギュラとして、一般勤労者でも気軽にクラシック音楽が聴けるという理念・方針のもとで、チケットの低価格を維持してきた。思いきって敷居を低くしたこのコンサートでは、何とS席50元という驚異的な低価格を設定している。

64244_2ソプラノ熊郁菲:アリア「月に寄せる歌~白銀の月よ」

 ほぼ満席のコンサート会場では、子連れが多くやや騒がしいが、その辺はおおらかに不問とする。上演中の写真撮影も離席・再入場着席も基本的に自由。何と言っても、演奏前に作曲家や曲目の背景を分かりやすく司会者が説明してくれるのが素晴らしい――。

 「皆さん、音楽家になるには、その遺伝子が必要だと思っていませんか。でも、実はそれが関係ないんです。父さんや母さん、もうちょっと遡って爺ちゃん婆ちゃん、誰一人音楽をやる人もいない。しかも、街の肉屋に生まれて豚や鶏を絞めたことがあっても、楽器なんか触れたこともない。こんな肉屋の子は、何と、世界の大作曲家の座へと登り詰めたのでした。チェコの誇り、あの、ドヴォルザーク(中国語:デーウォシャーカー)でございます・・・」

 一般市民にも親しみやすい解説でとても良かった。煙を出さないGDPをどんどん積み上げ、文化産業が盛んな中国を創り上げるために、このような文化事業をもっともっと増やしてほしいし、政府からも補助や支援をしてほしい。

64244_3演奏を終える上海歌劇院交響楽団(林友声 指揮)

 本日のプログラムは以下の通りである。

 ●ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」
 ●ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」第2楽章
 ●スメタナ 歌劇:「売られた花嫁」より 喜劇役者の踊り
 ●ドヴォルザーク:「わが母の教え給いし歌」(ヴァイオリン協奏スタイル)
 ●ドヴォルザーク:「スラブ舞曲」第10番
 ●ドヴォルザーク:歌劇「ルサルカ」より「月に寄せる歌~白銀の月よ」(ソプラノ)
 ●スメタナ 連作交響詩「わが祖国」第2楽章 「モルダウ」
 ●ノヴァーク:スロヴァキア組曲 作品第32番 第5楽章
 ●ドヴォルザーク:交響曲第8番 第4楽章

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