2本のVOA記事を読み解く、中露同盟による反米枢軸の形成

 矛盾ではないか。昨日(5月17日)付けのボイス・オブ・アメリカ(VOA)中文版では、2本の取材記事が掲載された。

 1本目「プーチン訪中、収穫なし」。こんな主旨だった――。「今回の中露首脳会談では、広く関心を寄せられたさまざまな主要問題について、両国間の画期的な合意が公に発表されることはなかった。両国関係の強化を示唆する具体的な証拠は何もなかった。中国は明言も約束もしなかった」

 2本目「中露同盟結成後、第三次世界大戦かそれとも新冷戦か」。以下抜粋する――。「プーチンの北京滞在は短くても、非常に充実した実り多きものだった。中露両国の共同声明では、初の反米・反NATOの立場表明があり、前代未聞だった。 これは昨年のモスクワ共同声明以降の画期的な変化であり、反米枢軸の正式な確立を意味し、ロシア外交の大勝利だった」

 2本の記事はあたかも矛盾であるかのように見えても、実は矛盾ではない。私が総括すると、以下のようになる――。

 「米欧が期待していたウクライナ戦争をめぐる中露の合意はなく、内輪では中国はロシア支援の意思を再確認する一方、対外的に初の反米・反NATOの立場表明をもって、非公表の中露同盟の結成に両国は合意した。この同盟関係は、明確な反米枢軸であり、米国にとって史上最大の脅威になる」

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