1票で社会を変えられない理由

 「あなたの1票で社会を変える」――。

 確かに変わった。社会はどんどん悪くなった。投票率が上がれば、社会がもっと悪くなるだろう。問題は、票の量ではなく、票の質にある。政治家の質が悪いのは、票の質が悪いからだ。

 投票は手段。社会が良くなるのが目的(結果)。結果が悪いのなら、手段の修正が必要だ。しかし、「民主主義」が神聖化された以上、「民主」という手段の是非を問うことすらできなくなっている。気がつけば、民主主義制度が独裁化してしまっている。

 アメリカは、なぜ、諸外国に民主主義を押し付けるのか。多党制・投票制にすれば、アメリカは乗り込んで親米政権を擁立できるからだ。日本には親米政権を脅かすような勢力が存在しないだけに、アメリカは安心だ。台湾も同じだ。野党の国民党まで親米である。日台は同じ破滅の道を辿るだろう。

 結局、国民の問題だ。過去の栄光にしがみつき、中国という後発の権威主義国家に追い抜かれた事実を受け入れたくない。それだけの話だ。ならば、破滅を受け入れよう。

 私は、信念の固い原理主義者を尊敬する。自由・民主主義を守るためにどんな苦難、ないし死をも受け入れる人がいたら、是非教えてください。いますかね。腹一杯食って、酒を飲みながら、自由や民主を謳歌するのは、卑劣な偽善者である

 中国は武力よりも、台湾に対する経済封鎖を始めるだろう。中国への経済依存度が日本より高い台湾は、サプライチェーンの寸断で生活コストがあっというまに上がる。人間は飢えと貧困に一番弱いのだ。台湾は北朝鮮と違って民意が表に出てくる。「自由」と「民主」よりもまず、胃袋と財布。.

 マルクスいわく経済という下部構造が精神である上部構造を規定すると。マルクスを信じない民主主義国家では、検証したらいい。日本もまた然り。私がいつも言っている。日本人は生活費2~3割アップしても反中反露するか?

 民主主義制度下の政治家も大衆も、口だけは達者。

<次回>

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