マルクス「搾取・階級闘争」理論の更新版、変わったのはここ

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 マルクスと聞いたら、「共産主義」と脊髄反射して拒絶反応する大方の日本人。とんでもない。マルクスの理論は非常に哲学性が高い。1つの例を挙げよう。いわく「経済という下部構造が、精神である上部構造を規定する」と。わかりやすくいえば、腹いっぱい食えて、経済的余裕があって、はじめて、民主や自由という精神的な部分へたどり着く。

 インドで全国民向けの民意調査をしたらいい。インドの民主制を独裁制に変える。その代わりに、国民全員を3倍豊かにする。どうしますかと。結果は目に見えている。民主と自由よりもまず胃袋と財布。投票権よりもまずは生存権。

 マルクス理論の中核は、搾取に起源する階級闘争、つまり支配者階級と被支配者階級の闘争。彼の時代は、プロレタリアート(無産階級)と資本家階級の闘争があり、それが「労働搾取」という単一搾取に起源するものだった。今は構造的に変わっていないが、変わったのは、以下の3点だけ――。

 1. 無産階級のほうが少々有産になったものの、その僅かな資産も搾取対象になった――消費搾取。これはマルクス時代にほとんどなかった、従来の「労働搾取」と相乗効果をなす新種の搾取だ。

 2. 資本家階級は、より大規模でかつ高度集中した国際金融資本に格上げし、政治と結託し(ディープステートDS)、民主主義という偽装を施し、大衆・労働者階級に対する「投票搾取」も加えられた。これも、マルクス時代にはなかった。

 3. 階級闘争も、搾取も、マルクス時代よりは隠蔽性が増え、表面では見えず、大衆は搾取される自覚すら持たない。それどころか、民主の偽装下、搾取される大衆が搾取の構造を自ら支持し、加担すらしている。

 以上の3点の変化は、マルクスが夢にも思っていなかった「搾取の進化」「階級闘争の非可視化」である。マルクスが生きていたら、「新・資本論」を書いていただろう。ただ出来上がるまでに、事故死を遂げるかもしれない。

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