私はなぜ絵文字を嫌っているのか?

 私はSNS上の絵文字スタンプが嫌いである。それに対し、文字表現を好む。

 絵文字表示は、視覚的にわかりやすく、情報を直感的に伝える手段として有効だ。一方で、その単純化された表現は、人間のもつ豊かな感性を矮小化し、多様な表現を抹殺している。文字が持つ深さや多義性はもちろんのこと、特に文字の組み合わせは、読み手に解釈の余地を与える。その曖昧さの中にこそ、人間的な思考や感情の幅が広がるからだ。

 しかし、絵文字、顔文字やキャラクター表示には過剰に感情を強調し、情報の本質を薄めている。それが無意識のうちに、軽薄さや表面的な印象を人に与え、さらに共感や統一感、単一性を押し付け、その違和感が嫌悪感へと繋がっているのである。少なくとも、私はそう感じたのである。

 では、SNSはなぜ絵文字を広げているのか。SNSが絵文字を積極的に普及させる背景には、思考に頼らずにスピーディーにレスポンスを可能にする効果がある。これにより、ユーザー間のコミュニケーション頻度が飛躍的に向上する。絵文字は、直感的で視覚的に情報を伝えるため、文章を考えたり打ち込んだりする手間を省き、即座に反応を示す手段として優れている。これが、プラットフォーム全体のアクティビティを高める要因となる。

 従って、絵文字の利用促進はSNSの商業価値を高める。コミュニケーションが増えれば、ユーザーがプラットフォームに滞在する時間が長くなる。その結果、広告の露出機会や課金サービスの利用頻度が上がり、SNS運営側の収益向上につながる仕組みだ。そういう意味で、ユーザーは良いカモとして利用されているのである。

 いずれにせよ、私が文字を好み、絵文字表示を嫌うのは、世界観や価値観の違いに起因している。人に押し付けるつもりはない。

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