マレーシア移住(27)~マレーシアにビジネスチャンスがあるのか?

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 マレーシアにビジネスチャンスがあるのか?答えは、「Yes」であり、「No」でもある。それは、市場との付き合い方次第だ。

 結論から言おう。日本人は往々にして自分の商材を海外に売り込もうとする。マレーシアでもどこでも同じ。買ってくれる顧客を探し、いわゆる「販路開拓」「市場開拓」しようとする。それは大きな間違いだ。正しいアプローチは、「市場開拓」ではなく、「市場探索」である。

 現地市場では、何が一番売れているのか?現地消費者は、何で一番困っているのか?自分の商材やスキルに関係なく、まずはそうした「市場探索」をするのだ。あくまでも自分の商材やスキルという狭き空間にこだわるのは、日本人の職人気質だが、もうそれは通用しない世界だ。日本型の「商材中心」の「販路開拓」は、ほぼ失敗に終わる。

 「その道一筋」。日本人的な美学だが、それが死を意味する時代になった。弁護士だの、医者だの、どんな国家資格でも、どんなスペシャリストでも、これからの時代は、AIなどによって淘汰され得る。自分が○○屋だから○○の仕事をやればいい、自分に境界線を画定することは自殺行為に等しい。

 「その道一筋」とは、裏返せば、要するにその道以外に何もできない、何もしようとしないということだ。問題は、その道が閉ざされた場合、どう生き残るかだ。

 プロという美名がある。「その道」のスペシャリストは、人生の長い期間をかけて、学習し、研鑽し、その道(技)を極める。それは知的投資や熟練のための投資であって、その投資の減価償却や回収には時間がかかる。だから、「一筋」の必要があったのだ。

 「その道一筋」。――「その道」の先が崖っぷちだったら、どうする?だから「その道」だけでなく「あの道」「この道」「二筋」「三筋」と、生き残りを賭ける。生きるか死ぬかの時代だから、美学など言っていられない。だから、「狡兎三窟」が必要だったり、「賢人三筋」だったり、サバイバルするのだ。「サバイバルの道一筋」だけが求められている。そんな時代である。

 職人ではなく、商人になり、あるいは、二刀流になることだ。良い商品が売れるのではなく、売れるのが良い商品だ。これを肝に銘じれば、マレーシアを含めた海外のどこにも、ビジネスチャンスが転がっている。

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