生誕121周年記念日、毛沢東思想「矛盾論」の実践運用を考える

 本日12月26日、毛沢東生誕121周年である。

 私は決して毛沢東ファンではない。だが、毛の著作を多数読んで勉強し、また企業のコンサルティング現場でも活用することが多い。

 たとえば、毛の「矛盾論」では、次のように述べている。「複雑な事物の発展過程でも、多くの矛盾が存在する。そのなかでは、かならず一つが主要なものであって、指導的、決定的な働きをし、そのほかは、副次的、従属的な地位にある」。企業の経営現場にも適用する。数多くの問題(矛盾)を羅列し、その主要な矛盾を特定して解決に取り組んでいれば、他の矛盾も相対的に容易に、あるいは連鎖的に解決できるのである。

 時系列的に状況の変化によって、主要な矛盾と福次的従属的な矛盾が変化したり、あるいは相互転換したりする。この動的要素、変化が時には目まぐるしいものだが、主要な矛盾の理論そのものは静的であって、不変なる哲理である。企業の経営において、さまざまな変化があるなかで、どのように主要な矛盾を特定するかはまさに最重要事項であろう。

 毛沢東は単に一般論的な矛盾の哲学について論じているだけでなく、中国独自の状況も加味し、実践的に研究している。矛盾の同一性と闘争性について、毛沢東は次のように論じる。「われわれ中国人がつねに言う『互いに反しながら、互いに成り立たせ合う』とは、互いに反するものが同一性を持っているという意味である。この言葉は、形而上学とは反対の、弁証法的なものである。『互いに反する』とは、矛盾する二つの側面が相互に排斥し、あるいは相互に闘争することを言う。『互いに成り立たせ合う』とは、矛盾する二つの側而が、一定の条件のもとで、相互に連結して同一性を獲得することを言う。闘争性は同一性のなかにやどっており、闘争性がなければ、同一性はない」

 企業人事制度の設計コンセプトに、私が常に提唱している企業と従業員の「求心力」と「遠心力」の均衡理念は、まさに上記の毛沢東理論をベースとしたものである。つまり、従業員には企業を離れても生きていけるサバイバルたる「遠心力」が必要であって、また企業はこの遠心力を持つ人材を引き留める魅力たる「求心力」をもつべきである。一見矛盾であるかのように見えるこの二つの側面は、程よい相互の排斥効果を機能させながら、同一性ないし高度の親和性を生み出すのである。

 さらに、毛沢東は「階級闘争」という概念を取り入れ、矛盾論の研究に豊富な中国政治の色彩を付与したところ、精彩そのものである。

タグ: