解雇しないために、解雇できる制度がある

 水曜午前は、某日系T社日本人責任者交代挨拶のご来訪。

 T社は2年前に私の3階建人事制度を導入した。早速、最近の制度運用状況を確認する――。「とにかく、平和で労務紛争やトラブルがありません」。新責任者のA氏は他社中国駐在経験が長い。「私は中国駐在中に他社でさんざん労務トラブルを見てきました。欠格従業員の解雇はとにかく難しいし、こじれる。この会社の中国法人に来てはじめて3階建制度を見て驚きました・・・」

 3階建制度はある意味で、賃下げや降格、離職誘導を含む人事権機能を担保する制度である。2008年労働法改正後の厳しい労務管理の環境下で唯一の選択肢として多くの日系企業に採用された。とはいっても、数十社の採用企業から、この制度を使って直接に賃下げや解雇を実施した事例をまだ一例も聞いていない。

 解雇できる制度は、解雇するためではなく、解雇しないためにあるのだ。けん制効果のもとで勧善懲悪、信賞必罰の機能が作動する。今後も引き続き制度の改善に取り組んでいきたい。

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コメント: 解雇しないために、解雇できる制度がある

  1. 素晴らしい人事制度のようなので、普及が遅いとしたら、恐らく通常の人事制度よりも、維持に手のかかる制度なのでしょうね。問題が起こったときのことを考えると、その手間も見返りの高いものになるのだけれども、問題がなければ手間のほうが目立ってしまうというような?

    もっとも、あんまり普及すると、中国政府から目を付けられて、そういうのは駄目だ!みたいな法律を作られそうだから、ほどほどニッチな市場でやっているほうが無難なのかもしれませんね。

    いずれ、立花先生が3階建人事制度の本をお書きになる日を楽しみにしています。

    1.  制度維持の問題ではなく、制度の採用は経営者と私の経営観や価値観の一致が必要です。制度の導入決定までは十分な対話と意思疎通が欠かせません。一件一件手作業の人事制度は量産化に適していません。普及などは考えていません。また、制度の適法性が確認されている以上、目をつけられるとかそういう問題は存在しません。中国は立法や法改正の権力をもっていますから、いつどんな法律が出来ても、コンプライアンスに徹し、企業経営の合理化を図っていくのが私の仕事です。3階建制度の本ですか、書きたいのですが、一番難しいのは、雛形的な制度ではないので一般論としての表現に適していないことではないかと思います。

  2. 予防医療に勝る医療なし。戦略(Know why)なくして、戦術(Know how)無用。
    千人の宮本武蔵、千人の関羽も、一人のアインシュタイン,諸葛孔明には遠く及ばない。
    優秀な心臓外科医はなくてはならないが、救える人には限りがあり、すぐれた予防医療には遠く及ばない。
    雑音に物ともしない、立花さんならではのご活躍を期待しています。天地正に至れり。

    1.  戸田さん、ありがとうございます。まだまだ理解いただけていない会社さんもたくさんおられますので、頑張ってまいります。

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