「Can」を制する者は、シングリッシュを制す

 マレーシアに長く住むと、自分の英語がだいぶ変質しているように自覚する。限りなくマングリッシュかシングリッシュ化してきた。いやな気持ちはまったくなく、むしろすんなりと受け入れ、そして自ら使いこなしていく自分が怖いほどだ。

 一応「正統派」シングリッシュ(マングリッシュはよく似ている)をベースに説明すると、基本中の基本は、やはり「Can」の使い方。「Can」を制する者は、シングリッシュを制す、といっても過言ではない。よく使われる「Can」と立花流の和訳を以下列挙する――。

 Can lah  OKです。
 Can leh  もちろんです。
 Can lor   大丈夫です。
 Can hah?  大丈夫?
 Can hor  大丈夫ですね。
 Can meh?  本当に大丈夫?
 Can bo?  できるできない?
 Can can  任せとけ!
 Can gua  かもしれん
 Can liao  完璧!とっくに済んでる
 Can liao la もう十分

 見てのとおり、中国語ベースで本物の英語よりも、相手の意思を確認したり、阿吽の呼吸の取り方が非常にバラエティに富んでいる。日本語の場合、「…か」「…よ」「…ね」「…よね」という表現をなかなか適切な英語に訳せないのと同じだが、シングリッシュはうまく処理してしまっているのだ。

 日本人はくそ真面目で、「寒いね」なら、「It’s cold, isn’t it」と正統派英語に訳しているが、めんどくさくてついつい「Cold ne」といいたくなる。「ジャパニッシュ」があってもいいと思う。

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