新型コロナ検査せず、医師法違反の疑いと国家賠償訴訟のリスク

 新型コロナウイルスに関して、日本国内の検査数が諸外国に比べて極端に少ないといわれている。検査を受けるために、発熱が4日間以上続いた場合などの条件が課されている。また各地の医師や保健所が検査を拒否するケースも多数報告されている。

 「医療崩壊」を避けるための手段だと日本政府が言っているが、政策の正誤を別として、現に多数の軽症者や無症状者が検査を受けられず、病名すら確定できずにいる現状を看過できない。そこで必ず出てくるのは、コロナの致死率が低いということだ。致死率が低ければ、検査や診療を受けなくてもいいのだろうか。

 常に見落とされているのは、後遺症の問題である(参考記事:『新型コロナ致死率が低い、その裏に隠される恐怖とは?』)――。

 肺がゼリー状化し、組織の線維化によって、恒常的な酸欠状態にあり、正常な機能を失う。息苦しさや呼吸ができないという症状が生涯付きまとい、運動どころか、通常の生活にも支障が出る。さらに腎臓や生殖機能、神経系統へのダメージも報告されている。

 たとえ軽症者ないし無症状者であっても、このような後遺症になった場合、いったい誰が責任を取ってくれるのだろうか。要するに早期検査と早期診断・治療をすれば、回避できたはずの後遺症に生涯苦しめられる被害者が将来、大量に発生するシナリオである。

 「医師法」第19条では、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められている。これによって、被害者たちが医師や病院相手に訴訟・集団訴訟を起こす可能性が出てくる。国家の決定が「正当な事由」で医師や病院が免責になった場合、長期にわたって大規模の国家賠償訴訟も起こり得るだろう。

 水俣病を想起する。長い歳月を経たにもかかわらず、多くの被害者が病に苦しみ、差別や偏見に傷つき、裁判が続いた。命や健康よりも経済成長を優先する社会構造の歪みが指摘されたところ、類似性が若干あるかもしれないが、今回の新型コロナウイルスは比較できないほど規模が大きく、程度が深刻である。

 安倍政権がこのようなシナリオを想定しているのだろうか。

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