「自粛延長」の先に待っているのは何か?

 日本のコロナ緊急事態宣言は、5月6日までの期限を1か月ほど延長する方向だ。うーん、何といったらいいだろうか。

 結論からいうと、現状のままの延長なら、意味がない。それどころか、経済が壊滅的状態に一歩二歩と近づく。生温い「自粛要請」の延長なら、感染拡大・深刻化のリスクを取って、思い切って解除したほうがまだマシだ。しかし、この軌道修正ができないのが日本の政治。解除の責任を誰も取りたがらないからだ。

 1か月のいわゆる「緊急事態」で、経済を大分潰してきたのに、大した効果が現れていない。1か月という貴重な時間を犠牲にしてしまった。これからさらに1か月というとんでもない話。2か月かけて経済を止めるのなら、徹底的にロックダウンをやれば、日本は諸外国よりももっと大きな実績をすでに出したはずだ。5月中に確実に終息できるだろう。

 感染のピークをなるべく緩やかなカーブにしながら、先延ばしする戦略。その目的は医療崩壊の回避だ。そこでPCR検査を過酷なくらいに絞り込み、市中に感染者が歩き回るような状態を作り上げた。さらに医療現場は崩壊寸前の状態に陥り、全体的に疲弊化が進んでいる。この状態が数か月続けば、それこそ医療崩壊が起こる。

 海外と比較すると、最近すぐに批判されたりもする。日本には日本のやり方があると。それはあると思う。それが正しければ海外のことを無視してもいいと思う。ただウイルスというものは、ユニバーサル性があって自然科学の世界であるから、意地は通用しないものだ。

 自粛が延長した場合、その先に何が待っているのだろうか。可能性は限られているので、シナリオを描くのはそう難しいことではない(以前も一度言ったことがあるが)――。

 まず最善の結果として、(A)感染が奇跡的な終息に向かってめでたく2か月の自粛をもって緊急事態の解除となる、というシナリオである。次に状態改善が見られない場合、3つの選択肢しかない。1つは(B)それでも無理して自粛を解除すること。もう1つは(C)自粛期間の再延長になるものの、国民が非協力運動を起こし、自粛しなくなること。最後に(D)立法して本格的なロックダウンに突入すること。

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