ロックダウン終わってほしくないと思った瞬間

 5月1日(金)、ロックダウン45日目。ついに、午前中に政府発表があった。来週月曜日(5月4日)から、マレーシア国内のロックダウンは一部解除。ビジネス再開、レストランは「社会的距離」や氏名登録を条件に営業再開。さらにゴルフ等一部のスポーツも可能になる。

 昼食はレストランからバクテー(肉骨茶)がグラブフードの配達で届けられた。マスク姿、ゲート越しのこの配達。眺めていると、知らずに目頭が熱くなった。一瞬、ロックダウンが終わってほしくないと思った自分がそこにあった。不自由の中で生きながらも、いろんな形でいろんな人との絆が強くなったように思えてならない。

 ちょうど今はラマダン(断食期間)中。断食とは日の出から日没までの間、飲食を断つことだ。食事だけでなく水も一滴飲めないのが相当苦しい。飢えに耐えることは全ムスリムの義務であって、お腹が空いて喉が渇く、飢えの苦しみには、身分や階級、富、職業、所得に関係なく全ムスリムが耐えなければならない。そこで貧富や身分の格差を超えた連帯感が生まれ、融和を図る意図も込められているのではないかと私は思う。

 ロックダウンはどちらかというと、ラマダンに近いようにも思える。異国の地であるマレーシア、この土地に住むいろんな宗教をもついろんな人が逞しく生き、共に国難を乗り越えようと懸命だった。不満を垂れることもあろうが、マレーシア人の連帯感だけは毀損することはなかった。そして、私のような外国人までも今回の災厄でこの連帯感を共有できた。なんと幸運なことであろう。

 災厄はすべて悪いことではない。ありがとう、マレーシア。

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