マレーシアはコロナ終息の「出口戦略」模索へ、一方日本では・・・

 4月20日(月)、マレーシアのロックダウン34日目。新規感染者数は36件、連続4日の2桁、ロックダウン以来の最少を記録。マレーシア政府は、新型コロナウイルス感染のピークアウトを迎え、ソフトランディングたる「出口戦略」を模索しはじめた。具体的な発表はまだないが、私の独自分析と予想で、参考まで以下提示する――。

 ① 5~6月頃から、行動制限令(MCO)を段階的に、部分的に、緩和する。テレワーク可能な業務は引き続き在宅勤務し、必要でない外出は引き続き自粛するよう呼び掛ける。

 ② マレーシア国内では、感染の再度拡大を想定し、厳格なモニタリングを引き続き実施する。感染のあった地域・団地等に対しては、ピンポイント・ロックダウンを実施する。

 ③ 対外は、特殊事案以外に、外国人の入国、マレーシア人の出国を当面禁止する。在外マレーシア人の帰国を控えるよう呼び掛ける。つまり、対外鎖国を当面継続する。

 ④ マレーシアは挙国体制で、「ニューノーマル(新常態)」に慣れるよう国民に呼び掛け、指導・支援する。国内では集会の禁止、社会的距離の保持など法制度で担保するよう体制を構築する。

 ⑤ 国民に対する抗体検査を段階的に開始する。

 一方日本では、「PCR検査を少なくする」政策の敗北が明らかになった。これからは「ロックダウンをやらない」政策の失敗も証明されていくだろう。世界トップ級のパンデミック専門家スティーブン・ハットフィル氏がいう、「史上あらゆるパンデミックを終息させる方法は、たった2つしかない――。ワクチンか、大規模隔離」。終息に向かう諸外国と比べ、日本の問題の本質は何であろうか。

 「法・理・情」。――経営コンサルティング現場で、私が多用する概念である。コロナ対策現場にも適用する。

 ● 法=法令による強制力、罰則付き。
       ↑
 ● 理=ロックダウン、徹底した隔離という合理性。
       ↓
 ● 情=自粛の要請、自律性への期待。

 諸外国の場合、「理」(合理性)である隔離の実効性を上方の「法」で担保するのに対して、日本は呼び掛けという下方の「情」に訴える。そこで差が出るわけだ。

 ロックダウン実施国では、違反者と公権力の対峙にとどまり、マレーシアやベトナムなど国民の一体化が促される国も見られる。しかし、自粛ベースの日本では、公権力介入がないまま、国民の分断がじわじわと生じる――ルール遵守層と違反層の分断。ただ、違反層が流動的だから、捕捉しにくい。すると、自警団やヤクザの出番となるかもしれない。深刻な場合、私刑が動員される場面も想定せざるをえない。そうなれば、社会的変形ないし変質につながりかねない。

 という仮説を立てながら、日本のことを懸念せずにいられない。

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