キャッシュ・イズ・キング、現金払い戻しに応じない航空会社

 コロナ禍で海外出張が次々とキャンセル。それに伴う航空券のキャンセルは厄介。フルサービスキャリアは基本的に問題なく、数日か2~3週間で支払いに使われたクレジットカードに払い戻しが着金するが、問題はLCC(格安航空会社)。

 ビジネス出張は基本的にLCCを使わないが、一部フルーサービスキャリアの直行便が飛ばない都市(特に地方都市)は、どうしてもLCCを使わざるを得ない。LCCは素直に返金に応じない。その代り、クレジットアカウントと称して、将来の自社便の利用に使えるポイント変換制なら、迅速に処理してくれる。

 エアアジアのクレジットアカウントの「入金通知」があって、チェックしてみると、有効期限はなんと2年もついている。それなら、航空会社が潰れさえしなければ、問題はないだろう。

 潰れるか潰れないか危うい。数日前の発表だが、エアアジアは、111名の客室乗務員、172名のパイロットと50名のエンジニア、総勢333名の大リストラに踏み切った。特にパイロットの大量解雇はやはりショックだった。コロナはやはり当分終わらないだろう。リストラも企業存続のための手段。

 とにかくそういう非常時には、「キャッシュ・イズ・キング」。なんとしてでも貴重な現金が流出しないように万策を講じる。クレジットアカウントもその一環。ただ当面の難関を乗り越えたとしても、先が全く楽観できない。厳しい消毒措置や「社会的距離」が求められる以上、運航コストが上がる。そこで運賃が上がれば、ただでさえ不況なのに、客離れにますます拍車がかかる。

 地球上の誰もが飛行機を利用できるようにという美しい経営理念は、呆気なく破綻する。飛行機はそもそも誰もが乗れるものではない。さらにリモートワークやWeb会議の普及や定着によって、飛行機に乗る必要性も低下する。

 と、マイ・クレジットアカウントを眺めながら考え込む。ポイントはいつになったら使われるのだろうか。

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