なぜ開発されないか、マレー半島東海岸の美しさ

<前回>

 マレー半島の東海岸は寂れている。交通が不便で有名な観光地もほとんどない。だからいいのだ。ゆっくりリラックスして自然を満喫できる。

 ペナンやらランカウイやら観光客が押し寄せる「人気スポット」はみんな西海岸に集中している。交通の便がよくて国際空港も整備されている。海外から観光客が簡単にアクセスできて観光業が発達する。しかし、海の美しさからいえば、西海岸のマラッカ海峡よりも東海岸の南シナ海が格段に上だ。西海岸のペナンなどは、海が汚すぎる。泳げるようなものではない。ランカウイの海もどんどん汚れてきている。

 東海岸は違う。海が美しい。特にティオマン島やレダン島、ペルヘンティアン島などの離島。以前、ティオマン島とレダン島へは、クアラルンプールのスバン空港からプロペラ機の定期便が乗り入れていたが、それが数年前いずれも路線休止となった。おそらく搭乗率が悪かったからだろう。

マレー半島東海岸・クアンタンの海

 もう1つの原因はモンスーン。マレー半島東海岸は、11月~3月にかけては北東モンスーンの来襲で雨量が激増し、波が荒いため遊泳は不可。一部の宿泊施設はモンスーン季節中に完全閉鎖となる。要するに、観光業として年間の半分近く稼働できないので、効率が悪いわけだ。現代資本主義の経済は基本的に効率第一であるから、非効率性は排除される。

 裏返せば、マレー半島東海岸はその非効率性で開発の荒波から逃れたといっても過言ではなかろう。

<終わり>

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