日本企業の中国撤退、安倍政権「反中」転向に着々と布石

 「日本企業の中国撤退」。日本国内メディアは過度の刺激を避けながら若干遠慮気味だが、海外メディアは相次いで大々的に報じている。もはや時代の流れとして不可逆である。

 安倍政権はコロナ対策で四面楚歌の境地に陥っている。支持率の持ち直しを狙ったうえでの唯一の出口は、「反中」である。経済と政治は切り離せない状況であるから、日本企業の中国撤退と並行して日本国内の反中ムードの醸成にも取り組むだろう。とりわけ二階親中派の排除、そして新しい中国大使に対中タカ派とされる外務省の垂秀夫官房長を起用する方向で調整しているという。

 着々と布石を打っている。今回の第1陣の中国撤退名簿をみると、医療設備用品や精密機器が主である。新型コロナ危機から肝心な医療用品の国内生産拠点の確保が流れとして説明しやすい。今後の第2陣はおそらく米国の対中制裁に絡めてくるだろう。半導体などハイテク関連、とりわけファーウェイとの縁切りでかなりの日本企業に影響が出る。

 日本政府は、中国生産拠点の日本への国内回帰や第三国への移転を支援する目的で、すでに緊急経済対策の一環として総額2435億円を2020年度補正予算案に盛り込んだ。数字的に微々たるものであくまでも今年度という時限付きだから、2021年からは本格化すれば、数兆円規模の撤退補助予算を積み上げるだろう。

 「中国工場」や「中国市場」。一時もてはやされた概念だったが、儚いセピア色の1頁となろう。

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