中国には700万人の通信販売配達員が働いている。そのうちの24.7%が大卒以上の学歴、1%にあたる7万人がなんと修士学位を有している(中国配達プラットフォーム「美団」が発表した2020年上半期レポート)。
同レポートによると、これらの配達員の半数以上が4000元以上、さらに7.7%が1万元以上の月収を得ているという。どちらかというと、新卒のホワイトカラーよりもいい状態といえる。
学歴はもはや、さほど意味をなさない。というよりも、市場の実需によって個人のバリュー(市場価格、受け取るべき収入)が決まる。その現れといえる。高学歴即ちホワイトカラー、即ちエリートという図式がすでに崩れつつある。特にコロナの拡散がこの現象を浮き彫りにした。
一方、企業の中で働いているホワイトカラーはいったい、その市場価格が適正に反映されているのか。厳格に査定する必要がある。さもなければ、市場全体の公正性が損なわれかねない。労働市場のメカニズムが崩れれば、企業の人件費と生産性が乖離し、いずれ企業の収益ないし経営にしわ寄せする。
汗水垂らしてバイクを飛ばす配達員の若者たちを目の当たりにして、パフォーマンス以上の給料をもらっているサラリーマンたちに、一喝を入れたい――。ツケが直に回ってくる。日本国内も然り。