コロナはどうなるの?日本社会は「Lose-Lose」の結末に向かう

 1年以上みてきたところで、コロナ対策は概ね以下4通りを挙げられる。

 選択肢1、法令強制型。法的強制力(罰則付き)をもって完全ロックダウンを実施。特別許可されるエッセンシャル・セクター以外の経済活動はすべて停止。個人の自由が最大限に制限され、食料・日常品や薬品の購入、通院など以外の外出は禁止。中国やベトナム、マレーシアの昨年第1次ロックダウンがこれにあたる。台湾は初期取り組みで成功した特殊例である。

 選択肢2、自律自粛型。法的強制力を伴わない、基本的に個人ベースの自律に依存する緩やかな人的流動削減措置である。政府が「お願いする」ことで、自警団機能が期待される。順守する良い子が損し、違反する悪い子が得する。馬鹿アホな国民が聞く耳を持たない。日本を中心とした運営モデルで、厳格化すれば一時的に感染者数が減少するが、緩めば再燃する。厳格運用と緩和運用を繰り返す。

 選択肢3、自由放任型。経済や個人自由を優先し、集団免疫を狙う運用である。スウェーデンがその典型例だが、失敗に終わり、同国政府も失敗を認めた。

 選択肢4、ワクチン型。ワクチンに期待を寄せ、とにかく接種スピードを上げ、短期間に多くの国民にワクチンを接種させ、集団免疫を達成する。イスラエルのような成功例とチリのような失敗例が分かれている。

 現在のマレーシアは、緩和運用の法令強制型(選択肢1.5といったところか)プラス選択肢4のワクチン型である。これに対して、日本はまず、選択肢1の法令強制型がとれないため、選択肢2の自律自粛型で運用してきたが、蔓延拡大に伴いだんだんその度合いを引き上げている。ただ、法的強制力(拘束力)が随伴しないだけに、抜本的改善は見込めない。なお、ワクチンの進捗が非常に遅い。

 日本にとっては、最終的に選択肢4のワクチンが唯一の救いになる。ただ接種率が上がり、集団免疫を得るまで社会や経済がもつのか、定かではない。さらにいってしまえば、ワクチンの効力が期待はずれになった場合、日本は絶望の境地に陥る。

 早すぎる段階でやり過ぎるくらいの手を打つのが、危機対応の鉄則(台湾がそうやった)。情況悪化にあわせて段階的にレベルを引き上げる「戦力の逐次投入」がいちばんのタブー。しかし、日本社会の「空気」文化(空気醸成しなければ動けない)によって、どうしても戦力の逐次投入に偏らざるを得ない。非常に残念なことだ。

 2~3か月の法令強制型で徹底し、外国との往来を完全に断ち切れば、日本はある程度台湾の情況に近づけるだろう。ただ、その見込みはほぼない。なぜなら、犠牲と生存の取捨選択が必要だからである。切り捨てられる業種と生き残る業種に不公平が生じること、「選択格差」を受け入れられるキャパを日本人は持ち合わせていない。

 「Win-Win」が無理。「Win-Lose」と「Lose-Lose」の選択に直面すれば、日本人はほぼ間違いなく「Lose-Lose」を選ぶだろう。生き残るものが「出し抜き」「ずるい」と思われる、日本人のDNAにはそうした嫉妬心が刷り込まれている。日本的な表現にすると、玉砕心理。良し悪しではなく、現実だ。

 戦艦大和を滅ぼしたのは、ある意味で米軍ではなく、日本人だった。沖縄特攻出撃は、「Lose-Lose」の玉砕心理が働き、それもまた空気が醸成したからである。

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