「その道一筋」は死を意味する

 「その道一筋」。日本人的な美学だが、それが死を意味する時代になった。

 「その道一筋」とは、裏返せば、要するにその道以外に何もできない、何もしようとしないということだ。問題は、その道が閉ざされた場合、どう生き残るかだ。

 プロという美名がある。「その道」のスペシャリストは、人生の長い期間をかけて、学習し、研鑽し、その道(技)を極める。それは知的投資や熟練のための投資であって、その投資の減価償却や回収には時間がかかる。だから、「一筋」の必要があったのだ。

 しかし、「一筋」がダメになったら、「その道」だけでなく「あの道」「この道」「二筋」「三筋」と生き残る可能性を求めざるを得ない。生きるか死ぬかの場面だから、美学などは言っていられない。

 サバイバルなのだ。「サバイバルの道一筋」だけが求められている。そんな時代である。

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